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AI通信「こんなとこにも人工知能」

名だたる中国IT企業の同行が注目されている(Scott Halleran/Getty Images)

「米中テック冷戦」の影響が拡大するなか、中国大手IT企業がシンガポールに拠点を構える動きが目立ち始めている。

米国、欧州、インドなどでは中国企業に対する圧力が強まっているが、シンガポールは相対的に規制が少なく、ITが発達しており、なおかつ東南アジア進出にも有利という好条件を揃えているからだ。シンガポールに“避難”する中国企業のなかには、日本でも名の知れたAI企業も多く含まれている。

メッセンジャーアプリ「WeChat」で知られるテンセントは最近、シンガポールに東南アジア地域にビジネスを展開するためのハブ設置を発表した。同ハブ強化のため、ゲームなどいくつかの事業ポートフォリオを完全にシンガポールに移転するとしている。

動画共有アプリ「TikTok」を運営するバイトダンスも、シンガポール法人を東南アジアだけでなく、グローバル進出の拠点として活用していく方針を示している。一部のエンジニアはシンガポールに移動しており、決済サービスやEC事業などと関連して約200人を追加採用することに決めた。また現地では、デジタル銀行事業権の入札にコンソーシアムの形式で参加している。

ファーウェイはすでに、クラウドおよび人工知能関連の研究所をシンガポールに設立しており、中国の証券業界2位の海通証券、アリババ系金融子会社・アントグループなども、最近シンガポールに支社を設立している。中国を代表するAIスタートアップ・センスタイム、オンライン旅行代理店・シートリップ、中国最大級のライブストリーミング・プラットフォーム・YY、通信グループ・チャイナモバイルなどもすでに進出を果たしている。

シンガポールは米中対立のさなかにあって、相対的に中立的な姿勢をみせており、外国企業の投資を誘致するため各種規制を緩和。税制優遇にも積極的だ。中国企業の立場からすれば、シンガポールにグローバル本社を設立することが、「中国企業」というイメージを覆い隠すことに寄与する。

シンガポール投資マネジメント協会(IMAS)は昨今、中国企業のサポートを行うため専門部署を設置しなければならないほど、シンガポール進出への関心・意欲が高いともコメントしている。2018年以来、中国企業の会員数は毎年倍増する勢いだという。

米大統領以降、米中テック冷戦の様相は変化していくだろうが、すでに対応を開始した中国企業の戦略の方にも目を向けていくべきかもしれない。

文=河 鐘基(ハ・ジョンギ)

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