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2020.10.13

【10月第1週資金調達まとめ】人工合成クモ糸開発に取り組むSpiberが59億円の調達

国内の成長産業及びスタートアップに関する幅広い情報を集約・整理し、検索可能にした情報プラットフォーム「STARTUP DB」では毎週、資金調達のサマリーを発表している。この記事では、10月1週目の“注目のトピック“として選ばれた5件の資金調達について紹介する。

Spiber


調達額:59億円
調達先:Archer Daniels Midland Company
備考:資本業務提携

構造タンパク質素材「Brewed Protein」を開発するスタートアップ。

2007年9月、神奈川県にて設立。その後、2008年6月に慶應義塾大学先端生命科学研究所のある山形県鶴岡市に移転。

リリース当時ポリエステル以来の大革命と言われた「クモノス」は組み替えた蜘蛛の遺伝子からなる合成タンパク質を発酵、高分子合成する。

通常のプラスチックや合成繊維はそれぞれ製造するプロセスや工場は全く異なるが、原料になる遺伝子組み換えしたタンパク質を変えるだけで、一つの工場で多彩な性質を持った合成繊維やプラスチックを作れることが最大の特徴だ。

原理的には特定の動物の獣毛やキバの合成タンパク質を使えば、それらと似たような性質を持つプラスチックや繊維を製造できるとされている。

2020年10月には米国の穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド・カンパニー(以下、ADM)と提携、同時にADMを引受先とする第三者割当増資による約59億円の資金調達を実施した。

2020年10月時点、同社はタイに工場を建設中、2021年中の稼働を目指している。

電脳交通


調達額:5億円
調達先:JR東日本スタートアップ / JR西日本イノベーションズ / Mobility Technologies / NTTドコモ・ベンチャーズ / いよぎんキャピタル / エムケイ / 三菱商事 / 第一交通産業 / 阿波銀行
備考:他、既存投資家を含む

タクシーの配車代行サービスや、IT 技術を活用した運行・配車業務効率化システムを開発・提供するスタートアップ。

同社の開発した日本初の「クラウド型タクシーコールセンター」は、全国の小規模タクシー会社向けのコールセンターアウトソーシングサービスだ。

同サービスは専用アプリが搭載されたタブレット端末をタクシーに設置し、コールセンターから送られてくる情報により正確かつ最適な配車業務を行えるようにするもので、タクシー事業者は従来のコールセンター運営費用の1/3~1/2程度のコストで24時間365日配車業務を運営することが可能。

また、従来の共同無線配車を行う場合では、配車室の電話番号を統一することが一般的だったが、同社のシステムではクライアントの既存の電話番号を継続して利用でき、配車ルールなどもそのまま引き継ぐことができるため、導入障壁も低いことが特徴だ。

2020年10月には、Mobility Technologiesなどの既存投資家に加え、三菱商事、JR東日本スタートアップ、第一交通産業グループ、エムケイ、阿波銀行、いよぎんキャピタルを引受先とする総額5億円の資金調達を実施。

調達した資金は、全国への事業展開やサービス機能強化、配車センターの拡充などに充当し、タクシー業界のさらなるDX推進に貢献していく。
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文=STARTUP DB

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