「調子はどう?」から始める会議で、共感不足の解消を

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職場で、今ほど共感が必要とされた時期はないのではないか? 新型コロナウイルス感染症のパンデミックから社会的正義や経済に関する懸念の高まりまで、ストレスの原因を挙げれば切りがない。

失業率は記録的で、多くの従業員は今後の仕事の見通しについてストレスを感じている。フルタイムで働くか、在宅教育が必要な子どもの世話をするかの決断に迷っている人もいる。企業は活動を続けるし、プロジェクトの継続や注文の処理も必要だ。しかしリーダーは、新たな環境のニーズに合わせるため、会議や電子メールを含むほぼ全てのやりとりを通してこれまでにない高レベルの共感を示さなければならない。

「調子はどうですか?」という気軽な質問は、昔は答えを必要としないただの表現であることが多かった。しかし多くの人にとって、このシンプルで誠実な問い掛けほど、1日に答える質問の中で重要かつ意義があるものはないかもしれない。

リーダーは、さまざまな職務レベルを通してチームメンバーをサポートすることに苦戦している。リーダーが即実践できるシンプルだが強力な習慣は、全ての小規模なグループ会議で「調子はどう?」と尋ねることだろう。この時間には、自分が個人的にどのような状況にあるか(またどのような支援が必要か)について手短にそれぞれ1分で共有してもらう。

共感を示すリーダーになる重要性


このシンプルな習慣は、全てのチーム会議に共感の基盤をもたらすものだ。ソフトウエア企業ライムエード(Limeade)のローラ・ハミル最高人材活用責任者(CPO)は、会議を始める際に人間的なレベルでつながることで共感する時間が持てると主張した。

「会議中に話す(そして心から聞く)時間を作ることで、他者の置かれた状況を理解する場が作られる」とハミル。「相手の状況と相手が直面している課題を認識することです」と言う。

人によって状況は異なるものの、パンデミックにより組織のほぼ誰もが共感できる共通の悩みが生まれた。ハミルは話すより聞くことを支持しているが、リーダーには個人的な考えを共有することで相手に安らぎを与えることを勧めている。「自分がその状況にいることを想像し、似たような状況に対処した話をしてもよい。上からの立場で述べるのではなく、それが難しいことを理解していると述べること」とハミル。

ハミルが最近チームと共有した話には、娘が今よりずっと幼かった頃に、早朝は静かなクローゼットの中で顧客の電話を受けていたという話がある。ハミルは「幼い子どもがいる従業員の一部とこの話を共有し、自分が一人ではないことや、これは非常に難しいことだということを理解できるようにした」と述べ、「気持ちを少しくみ取り共感を持ってもらえるだけで、十分乗り越えられるときもある」と続けた。
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翻訳・編集=出田静

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