命を救うAI活用例5選 事故予測、人身売買撲滅など

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3. 病院外での診断


AIは、病院以外の場面でも命を救うことができる。医療上の緊急事態の多くは救急車の派遣前や派遣中に起き、病院到着までのわずかな時間が生死を左右する。コーティ(Corti)はこうした状況に対処するため、心停止を検知できるAIシステムを開発した。

音声付きのデジタルアシスタントが緊急電話の内容を聞き、通報内容を分析することで、現在の患者の状態を判断する。デンマークの首都コペンハーゲンで行われた試験では、病院以外の場所で心停止が見過ごされる事例が43%減少した。同社はこの技術を他の病気の診断にも応用する方法の開発に取り組んでいる。

4. 医薬品の向上


薬は病気を治療し、人命を救うことができるが、その多くには別の健康問題を引き起こす副作用がある。オーキン(Owkin)は、研究開発にAIを用い、医薬品の改善に取り組んでいる。

同社は、機械学習アルゴリズムを使用し、病気の進行予測や治療の改善、製薬方法の改善に向けたモデルを作成。提携病院からの膨大なデータを活用し、副作用を最小限に抑えながら回復を促進する方法を模索している。

5. 人身売買の撲滅


人命が脅かされる場面は、医療関連のみにとどまらない。世界中で起きている人身売買の問題は、注目されるべきもう一つの“パンデミック”だ。この問題に取り組む人々は、世界で人身売買の被害に合っている女性や子どもたちの救済にAIを活用できることに気付いた。

人身売買の調査では、ネット上のデータ収集に膨大な量の時間とリソースが必要となる。AIを活用すれば、人間では達成不可能な速度でデータを収集・処理し、パターンを特定できる。また、AIを画像認識ソフトに導入し、犯罪者追跡と被害者の位置特定に役立てることもできる。人身売買の現場で犯人を捕らえ、その国際ネットワークを暴くことができるのだ。

デルタ8.7(Delta 8.7)は人身売買の容疑者を追跡し、その活動を止めさせるため、AIとコンピューター科学を応用している。同団体は国連大学政策研究センター(UNU-CPR)やアラン・チューリング研究所、コンピューティング・コミュニティー・コンソーシアム(CCC)、テック・アゲンスト・トラフィッキング(Tech Against Trafficking)などと協力し、人身売買問題への対処にテクノロジーを活用する方法を模索している。

世界をより良い場所へ


人の命はかけがえがなく、守らなければならないものだ。死亡事故の防止から人身売買の被害者救出まで、AIは私たちが安全で幸せな生活を送れる可能性を高めてくれる。

編集=遠藤宗生

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