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川村雄介の飛耳長目


まず、積極的に中国展開を進めるべきゾーンは、文化、芸術、芸能、エンタメだ。政治的影響が小さいし、中国の日本の伝統文化やサブカルへの人気は根強い。

次にある程度前向きに展開すべきゾーンは、食品、飲食、流通、サービスではないか。中国には日本の食の衛生管理や「おもてなし」に強い関心がある。日中の合弁事業もおおむね順調だと聞く。

第三は、十分注意しながら個別に進めていくべきゾーンである。製造業全般がこれに当たる。進出日本企業の過半はこのゾーンであり、中国側の日本の技術へのニーズは根強い。中国人従業員の質も上がっている。だが、手続きに時間を要したり、突然規制が変わるリスクもある。

第四は、基本的に控えたほうが無難なゾーンで先端技術や情報分野である。知財保護に懸念が残るし、軍事転用の恐れも否定できない。米国を刺激する可能性も高い。

中国の日本企業への視線は熱い。政府幹部が日本企業や経営者を名指しで礼賛することも多い。

猛暑のある日、懐かしい教え子から電話をもらった。広東省の投資ファンド幹部に出世した趙君だ。「中国国内はほとんど平時になりました。毎日の会食で10kg太ったよ。日本のベンチャーに投資したいし、早く日本に行きたい」。

学生時代から、酔うと「中国共産党万歳!」と叫ぶ一方で、日本が大好きな趙君の言葉だが、いささか複雑でもある。

100年余り前に梁啓超の発した言葉の真意を探る思いもある。彼はこう言っていた。「日本と我々は唇歯兄弟の国であって、他日、支那と日本の二国は恐らく合邦を成し遂げるだろう」。


川村雄介◎一般社団法人 グローカル政策研究所 代表理事。1953年、神奈川県生まれ。長崎大学経済学部教授、大和総研副理事長を経て、現職。日本証券業協会特別顧問、南開大学客員教授、嵯峨美術大学客員教授、海外需要開拓支援機構の社外取締役などを兼務。

文=川村雄介

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