台湾フォックスコンがEV事業を拡大、「iPhone依存」低減へ

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アップルのiPhoneの組み立てを受託し、世界最大の電子機器の受託製造メーカーとして知られる「フォックスコン」は、EV(電気自動車)市場の成長に伴い、今後の生産を活発化させるため台湾の自動車大手と提携すると発表した。

フォックスコンは9月末、「国巨(ヤゲオ)」グループとの提携をアナウンスした。この提携によってフォックスコンは、ヤゲオが持つEV分野での知見や5G分野のテクノロジー、半導体のパッケージングのノウハウを活用し、EV関連事業を拡大していく意向だ。

ヤゲオのピエール・チェン会長は声明の中で、「今回の鴻海グループ(フォックスコン)との提携により、お互いの技術的利益を拡大しリソースを共有することで、両グループの価値を最大化し、将来的な成長を見込むことができる」と述べた。

調査企業ResearchAndMarkets.comの7月の発表によると、新型車のリリースや需要の高まり、政府の支援策により、パンデミック後に落ち込んだEVの販売台数は、2021年から増加する見通しという。市場調査会社のケネスリサーチも、「世界のEV市場は2020年から2025年まで、年平均18.4%の複合年間成長率で拡大する」と予測している。

フォックスコンは中国との競争の激化や世界の家電市場の成長の減速を受けて、電子機器の委託製造への依存度を下げる努力をしており、医療機器分野への進出も開始している。

フォックスコンのヤン・リュー会長は1月、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と合弁会社を設立し、2年以内にEVを出荷すると発表した。その1カ月後には、台湾の自動車大手「ユーロン・モーター(裕隆汽車)」と合弁会社を設立し、ユーロンの子会社と共同でEVを開発すると発表した。フォックスコンはこれらの2社に、部品の組み立てサービスを提供していく見通しだ。

台北の調査企業Polaris Research Instituteの代表は、「フォックスコンのスマートフォンの製造受託事業の利益率は低下しており。同社はそれに代わる事業を求めている。EVはその有力候補だ」と述べた。
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編集=上田裕資

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