欧米で豆腐ブームが拡大。「家畜の大量安楽死」との意外な関係

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コロナ禍の欧米で「豆腐」が売れている。

背景には、新型コロナウイルスの感染が、移民労働者が密集して働く食肉加工工場で著しく広まったという事実がある。

ハンバーガー好きで知られるトランプ大統領が4月に、「食肉加工工場を閉鎖するな」との大統領命令を出したことは話題になったが、それでも米国内の食肉加工工場は次々と稼働停止となり、加工用の家畜が大量に安楽死させられている。

このため、ミートレスな食生活を余儀なくされた消費者が、代替タンパク源であり、しかも肉よりも安い豆腐に流れているというのだ。

もちろん、そもそも1999年に米食品医薬品局(FDA)が「大豆のタンパク質が心臓病のリスクを下げる可能性」を示してから、欧米での豆腐需要はじわじわと高まってもいた。


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米国や英国で豆腐市場が拡大


米国の豆腐売り上げ78%を占める韓国のメーカー「Pulmuone」CEOのJay Toscanoによれば、米国内の4つの工場は週6日フル稼働だという。それでも品不足のため、韓国から豆腐商品を輸入する必要に迫られている。

またビーガン食品のメーカー「Foodies Vegan」でも、豆腐製品「Pumfu」の売り上げは前年比50%アップした。CEOのChristian Stroud氏は、この好調が続けば「今年はPumfuの売り上げだけで1億ドル(約106億円)になる」と語る。

その他にも、全米に2800店舗を持つ大手スーパーの「Kroger」では、豆腐の売上げが3月中旬から5月下旬にかけて9%の増加。また7州で101店舗を持つ「Wegmans」では、3月中旬から5月下旬の売り上げが昨年比でほぼ倍になっている。ちなみに米国に2つの工場を持つ日本のメーカー「ハウス食品」の米国内での豆腐の売り上げも昨年比で8%増だという。
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文=石井節子

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