欧米で豆腐ブームが拡大。「家畜の大量安楽死」との意外な関係

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BBCニュースによれば、英国でもコロナで1800万世帯が「ミートレス」に転向している。米国のデータ測定会社ニールセンによると、英国の豆腐市場はコロナ禍で43億円規模に拡大した。

たとえば、英国の豆腐市場で46%のシェアを持つヨークシャーベースの企業「The Tofoo Co」は、コロナを経て100万ポンド(約1億3000万円)の増収を果たしたという。

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Photo:Foodies Vegan

同社CEOのKnibbs氏は、「従来は、外側にチリペッパーがまぶしてあったり、クリスピーな衣が着せられていたりするものが人気商品だった。現在の一番人気は、なんの味もついていない『Naked Tofu(裸の豆腐)』だ。コロナ禍のあおりで外食が以前ほどは楽しめなくなり、なにより在宅の時間が増えたことから、ゼロから調理をしたいという欲求が高まってきたからだ」と語る。

「パンデミック」著者の警告


新型コロナウイルスの感染源についてはまだ確定されていないが、コウモリから動物を介して人間にうつったという説が有力である。そもそも感染症の70%は動物由来だ。

2010年、まるでコロナ禍を予告するような先見の書『パンデミック』を著したことでも知られるスウェーデンウプサラ大学ビョルン・オルセン教授も、「肉食を減らし、家畜福祉を向上させ、そして生物の多様性を守らなければ、新型コロナウイルスよりも大規模なパンデミックが起きるのは時間の問題だ」と警告している。


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大豆は家畜の飼料というイメージが強い欧米で、家畜たちの食事でもあった大豆由来の加工品である豆腐が人気というのも、いかにも皮肉な状況かもしれない。

そのことはともかく、またオルセン教授の「未来予測」も知ってか知らずか、今日も欧米のスーパーでは人々がガラガラの精肉売り場を素通りし、新たなタンパク源である「豆腐」を求めてカートを転がしていく。

文=石井節子

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