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国際ジャーナリストのアメリカ深層メモ "Eye-opener"

「投票用紙が川に捨てられていた」と繰り返し主張し、「白を黒に」しようとするトランプ氏(Getty Images)

アメリカ副大統領で共和党のマイク・ペンスと、民主党の副大統領候補であるカマラ・ハリス上院議員が10月7日、副大統領討論会で激突した。

この討論会は、ドナルド・トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染した後ということもあって、注目度も高かった。ただ討論後は各メディアでファクトチェックが行われ、ペンス副大統領からも事実ではないコメントが次々と飛びだしたと指摘されている。またハリス候補も誤解を招くような表現をしていたとも報じられている。

それでも、その前の9月29日に行われたトランプ大統領とバイデン候補とのテレビ討論会に比べればかわいいものだった。トランプとバイデンの討論は、激しい議論となり、ワシントン・ポスト紙の論説は「恥をさらす」ものだったと批判した。

ニューヨーク・タイムズ紙は論説で、特にトランプを「自分を制御できず、怒りっぽく、自己中心的で、荒れていたようだ」ときびしく糾弾した。

筆者は大統領候補と副大統領候補の討論会をどちらとも見たが、その中で特に印象に残り看過できないと思った発言がある。トランプが討論の終盤、「いま何が起きているのか知っているのか? 票が川に捨てられている。私たちの国にとってとんでもないことである」と主張した部分だ。

そう、大統領選の投票用紙が郵便投票に使われずに捨てられているという。だからこそ、郵便による投票は正当性に欠けると言うのだ。これを受けバイデンは「そんな証拠はどこにもない」と直ちに反論していたが、それ以上は追及しなかった。

この発言が事実ならば、まさにアメリカにとって「大変なことが起きている」ことになる。実はトランプは、この話を9月25日に大統領専用ヘリ「マリーン・ワン」に乗る前の記者会見でも取り上げている。

「新聞で、川で彼らが投票用紙を発見したと報じられている。『トランプ』と投票用紙に書かれていたら捨てているのだろう」

この新聞は、ウィスコンシン州のローカル新聞のことである。その会見で、記事によれば誰の名前も書かれていなかったようだと記者から水を向けられたトランプは、それでも「ゴミ箱にはトランプの名が書かれた投票用紙が捨てられていた」と付け加えた。

そして翌日。さらに「非常にたくさんの投票用紙が川かどこかに捨てられていた」と公然と述べ、またその翌日には、「知ってると思うが、彼らは川の底からたくさんの投票用紙を発見した」とも主張している。

文=山田敏弘

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