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カマラ・ハリス上院議員(Getty Images)

11月3日の米大統領選に挑む民主党のジョー・バイデン候補がこの夏、副大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を選んだことが話題になった。「黒人女性」としては初の副大統領候補だ。

ニューヨークを拠点に作家活動をする新元良一氏に、これまであまり書かれなかったハリス議員の「ルーツ」、世界における異人種間の「ミックス」の分類について、そして「多様性の国」米国の知られざる横顔についてご寄稿いただいた。


黒人優秀学生が集まる学府で学ぶ、しかし濃い「インド系」意識


今年の大統領選挙で、米民主党の副大統領候補に指名されたとき、マスメディアをはじめ、多くの人びとがカマラ・ハリスのルーツに注目した。女性であり、黒人であることは、多様性を重んじる同党として支持層を広める意味で重要であり、白人男性の大統領候補のジョー・バイデンと組んで選挙戦を有利に戦える期待も高まった。

黒人がルーツと書いたが、周知のとおり、ハリスにはもう一つのアイデンティティがある。それは、インド出身の彼女の母親から引き継ぐ、アジア人としての血筋だ。

言うまでもなくハリスは、自身が黒人のアメリカ人であることの意義を自覚している。たとえば、優秀な黒人学生が集まる首都ワシントンにあるハワード大学に進んだ理由も、その認識をさらに高める志があったからとされる。

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Getty Images

一方で、黒人というステイタスを優先するがあまり、彼女のなかにあるアジア人の存在が消し去られたわけではない。ニューヨーク・タイムズ紙は、2018年のインド系アメリカ人の団体による集まりで、母親の故郷へ出向いて、政治への関心を高めた原体験について、次のようなハリスのスピーチを取り上げている。

「これまでの人生を振り返ってみると、自分を形成する上で最も強い衝撃を受けたのがそのときのことです。当時のわたしは、さほど意識していたわけではありません。でも自分の祖父と一緒に、海岸を散歩したことは深い衝撃となり、そのおかげで今のわたしがあります」

経歴を見ると、両親が離婚したのは、彼女がまだ7歳のときとなっている。それ以降は、妹とともに母親と一緒に暮らしたとされることから、インドの文化の影響は少なからず受けているはずだし、実際に何度かハリスもかの地に赴いた経験を持つ。

文=新元良一 編集=石井節子

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