パンデミック(世界的大流行)により、多くの小売業者は創造性を高め、この機会を活用することを強いられている。これは非常に珍しい機会だ。父親という、高い利益をもたらし拡大を続ける集団がまさに生まれようというときに、小売業者はそれを活用することができる。しかし、それには商品や店舗の配置に明らかな投資を行い、父親のニーズを理解していることを示す必要がある。
母親向け商品は父親向けの3倍以上
小売業者やブランドが男性のカテゴリーを認識していないわけではない。米市場調査会社アライド・マーケット・リサーチ(Allied Market Research)によると、男性向け日用品業界は2022年までに1660億ドル(約17兆5000億円)を生むと予想されている。しかし小売業者は、父親たちの行動と考え方を男性一般から完全に区別していないようだ。
米小売大手ターゲットのウェブサイトで「母親」と検索すると1300近くの商品がヒットするが、「父親」で検索した場合は400件ほどだ。
父親に特化した育児用品企業「ダッズ(DADZ)」の創業者たちは、父親に特化した社会団体ライフ・オブ・ダッド(Life of Dad)と協力し、父親の買い物の仕方や父親たちが望む商品を理解するためフォーカスグループを作った。ダッズ創業者には俳優のマックス・グリーンフィールドも含まれている。
フォーカスグループから得た見識について、共同創業者で自らも父親であるマイク・コンスタンティナーは次の4つを挙げた。
1. 乳児用品を買う父親が増えている
ピュー研究所の2019年の調査によると、父親の5分の1は頻繁に食料品の買い出しをしている。2016年時点では、年齢が若い父親の62%が年配世代よりも、パートナーと比べて食料品を主に買い出す方になる確率が高かった。これはダッズのフォーカスグループでも裏付けられ、92%が大体の場合おむつや食料品を購入していると答えた。
2. 父親は、自分たちの育児を認めてもらうことを望んでいる
父親たちは、消費者向け包装商品など既存ブランドの大半が、父親は育児にほぼ関与していないという「古めかしい」視点を持っていると感じていた。しかし、こうした父親たちは育児に深く関与し、それを誇りに思っている。