遅刻より惜しいのは、電動化を忘れたことだ。実はDBXがコンセプトとして一番最初にメディアに公開された時はEV仕様だった。アウディやポルシェがSUVに電動パワートレーンを採用しているのに、いまアストンマーティンはV8ツインターボしか用意していないというのは残念だと思う。やはり、V8仕様と、プラグイン・ハイブリッド仕様の2バージョンが見たかった。
意外なことに、アストンマーティン・ジャパンの話によると、コロナ禍になっても「思ったよりはキャンセルは少ない」という。価格がライバルより高いDBXでも売れているわけだ。ベントリー・ベンテイガの2081万円と、ポルシェ・カイエン ターボの1937万円に対して、DBXは高めの2299万円だから、顧客はアストンの初SUVに何か特別なものを感じなければ買わない。
DBXはどのライバルより格好良いし、走りも質感も乗り心地も良い。ただ、これまでにヴァンテージかDB11などに乗っていたユーザーがDBXに乗り換えたがるのか、それは分からない。やはり、アメリカの市場に期待すると同時に、女性ユーザーが新しい007に習ってDBXに乗るようになればいいのだが。女性ドライバーにはDBXが思い切り似合うと思うけどね。