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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

アストンマーティン初のSUV「DBX」

世界一のスパイ、ジェームズ・ボンドが高齢になったので、乗り降りしやすい5ドアSUVに乗ることになったって? そんなわけないよね。今の自動車業界の激しい競争の中で、アストンマーティンは勝負をかけている。はっきり言って、今年同ブランドが出した初のSUV「DBX」より重要な車種はない。どう見ても、同社を救うことになるのは、ウェールズ工場で生産されるこのスポーティなクロスオーバーだ。

今年公開されるはずだった「007」の25作目「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の中で、ボンドのコード番号を使うのは女性スパイだ。「007」という伝説的な名で呼ばれる諜報部員が初めて女性になったことと、アストンマーティンがより多くの女性ユーザーを目指して初のSUVを出すのとは、何か因縁があるように思えて仕方ない。

DBXのターゲットは、アメリカの巨大なSUV市場や女性という今までのアストンとは違う層だ。欧州のピューリストという純粋にスーパーカーの好きな人なら、おそらくDBXには乗りたがらないだろう。同車の主な市場は言うまでもなくSUV大好きなアメリカであって、大半のDBXは北米で販売される。

DBXを前から見た

さて、DBXとはどんなクルマなのか。正直なところ、今の高級SUVの中で最もプロポーションが良くて美しいと思う。見るからにアストンだ。デザイナーたちは本当によく考えたと感じる。

シルエットは穏やかな曲線が美的で、大きな凸型のグリルと上がり目のヘッドライトとの組み合わせがいい。新型ヴァンテージとDB11の隣りに置いても変に浮かないところが良い。年産5000台の目標というと、アストンのモデルラインアップの半分以上を占める。

走りはどうかというと、これも当然アストンらしいエンジン、足回り、音作りを採用している。そのパワーユニットはもちろんメルセデスAMGから仕入れてチューニングしたものだ。550psと700Nmを叩き出す4リッターV8ツインターボから生み出すパワーは申し分ない。2000回転からトルクが太く、アクセルを踏めば踏むほどV8エンジンが本領を発揮し、シフトが確実で素早い9速ATを通す加速はスーパーカー並みだ。

ドライブトレーンは、後輪駆動をベースに駆動力を前後に自動配分する4WDシステムや、可変エアスプリングを組み合わせることで、オフロードでは最低地上高を上げて楽に安全に走ることもできる。

DBXのコーナーの走り

文=ピーター ライオン

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