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宮﨑には監督から毎日のように言われ続けてきた言葉がある。それは「最初のストライクからしっかりバットを振る」ということだ。

ビジネスパーソンも、物事が上手くいかない時にアドバイスをくれる先輩や上司はいる。プロ野球選手にとってもコーチやチームメート、メディアやファンから届く様々な声があるが、そんな周囲の声に対して宮﨑はどう対応してきたのか。

「自分に合うか合わないかはありますので、一度やってみてから取り入れるべきかを考えます」

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(c)YDB

監督からの言葉は今も宮﨑の変わらない芯となっている。「変化をしない選択」は、変わることを否定するわけではない。練習方法や打撃フォームについては細かにノートを取り続け、小さな変化を繰り返してきている。だが打撃フォームを大幅に変えるようなことはしない。毎年のように変化をするチームメートに対しても、宮﨑は「凄いですよね」「勇気のいることです」と、どこか他人事のように語る。

「自分が変わっていくことが変化」という自然体の姿勢


だが、変化を望まなくても、周囲が大きく変わってしまうことはある。

昨年のオフには、長年チームを引っ張ってきたキャプテンの筒香嘉智がメジャーリーグへ移籍。新たにキャプテンに抜擢されたのはプロ4年目、25歳の佐野恵太だ。宮﨑にとってはチームの中心に立つリーダーが6歳も若い存在となった。その変わりゆく環境に対して「自分が対応出来ないと、追いつけなくなってしまう」という危機感は常に持っている。

若手が多い横浜DeNAベイスターズで、31歳の宮﨑は中堅からベテランの域へと突入しようとしている。だが、その周囲の変化を特別意識することはなく、「信頼を置くキャプテンに全部任せている」という。成長するためには変化が必要という考えが先行する世の中で宮﨑は変わることをどう捉えているのか。

「自分で変えるものではない。変化することに対して自分を変えていくことが変化だと思っています。そういう意味では、変わっていくという方が正しいかもしれないですね」

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自分のスタイルでダメだったら、悔いはない。試合で結果が出なくても、家にまでその悩みは持ち込まないし、バットを握ることもない。どんな結果であっても、次の日はやってくる。清々しいほどの切り替え力を持ち合わせる。

今は様々なメディアやソーシャルメディアの普及で、他人の考え方も明確に知ることができる。その分、個人としての芯がブレやすい環境にもなってきた。変化をしないことを選択すること。自然体でいることが何よりも難しい。

「考えてもまた次の日は来る。打っても打たなくても明日は来ますから」と宮﨑は語る。この自然体でいられる考え方こそが、彼の強さなのかもしれない。


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文=新川諒 写真=小田駿一

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