「何のために働くのか」という旗を立てる。結果、予測できない時代のキャリアはつくられる

NPO法人ファザーリング・ジャパン関西の篠田厚志理事長


前職は公務員、転職先は当時法人化したばかりのNPO。

当たり前ですが、働き方が全くと言っていいほど違います。仕事内容や進め方がきっちりと決まっていた前職から一変して、仕事の型など何も無い状況。

そもそも、自分で動かなければ仕事は生まれません。加わった当時は、団体のあり方やシステムをゼロから構築していく作業の連続。

自らコントロールできる仕事を望んでいたものの、自分で考え、自分で決めなければならないことだらけの状況に、最初は眠れないほどのプレッシャーを感じました。

理事長に就任してからも、団体の目的達成のためには何をすべきかなど、答えの無い問いに向き合い続けることの大変さを実感しています。

だけど、異なる二つの職場を経験したからこそ、「どちらも大変だし、どちらにも楽しさがある」と知ることができました。

もし転職してなかったら、「隣の芝は青そう」と見ているだけで、キャリアを終える頃に後悔したはず。飛び込んで良かったと思うし、経験したからこそ子どもたちに話せることがぐんと増えました。



もう、長いスパンで物事を見通せる時代じゃなくなっています。

昔は、ある程度将来を見通すことができて、「これに乗れば失敗しない」と言われるレールがあった。けれど、数年後や数十年後の未来が予測しづらい今は、安定したレールなんて無い。

失敗しながらも、自分でレールを作らなければいけません。そんな中で向かう方向を見失わないためにも、「何のために働くのか」を考え続けることが大事なのかなと思います。

子どもに何を残せるかを考え、なるべく多くの選択肢を子どもに提示できるように、という軸でキャリアを積んできました。

今、3人の子どもたちは13歳、10歳、5歳。彼らが自立して、私が今担っている役目を終える日もいつかやって来ます。

だからと言って、働く目的が無くなるわけではありません。子どもに背中を見せる役目が終わっても、また別の誰かの役に立てる人間でありたいという思いがあるから。

多くの経験をして、多くのことを知っている方が、役立てる幅が広がるもの。そう思うと、まだまだ経験と知識を増やさないといけないですね。


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文=倉本祐美加 写真=岡本直子

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