国内タクシー業界における課題と背景
近年、配車アプリの急速な普及により都市部ではタクシー利用の利便性が向上する一方で、国内のタクシー事業者は市場の縮小、従業員の高齢化(全国平均60歳)、IT化が進まず長時間労働や地方における配車業務の75%が未だに電話対応であるなど、多くの課題を抱えている。
このため、地方では観光や地元住民の貴重な移動手段としてのタクシー台数が減少し交通空白地帯の拡大が起きており、中小のタクシー事業者はIT化も進められない中、2020年の新型コロナウイルス流行による経済的打撃により、タクシー業界は急速な変化が求められている。
経営効率化、業務負担の軽減につながるサービスを提供
電脳交通は2015年、祖父が経営する廃業寸前だったタクシー会社を承継した近藤が、再建を図る中で見えた業界全体の課題を解決するために設立したベンチャー企業だ。これまでクラウド型配車システム、配車センター代行業を中心に事業者向けビジネスを展開し、2020年9月時点で全国25都道府県のタクシー事業者にサービスを提供、YoY300%のペースで導入されている。
電脳交通が提供するサービスは、IT知識の乏しい方でも使いやすい配車サービスを、柔軟で低コストな導入が可能なSaaSとして提供することで、導入企業における経営効率化、配車業務の負担軽減・コストの削減、配車アプリ間のデータ共有・交換を実現している。
事業者向けに提供しているクラウド型配車システム
また、タクシー事業者の配車業務の代行サービスも提供しており、社内組織として全国各地に配車センターを開設しリモート配車業務を行っており、導入企業では平均30~50%のコスト削減に繋がっている。2020年1月までに累計4億円の資金調達を実施し事業拡大を図ると同時に、徳島市、尾道市、山口市など西日本を中心にその地域における移動の課題解決にむけた取り組みを各自治体と推進している。
各自治体と地域交通の新サービスを開発