面接での質問に対する悪い答えは、良い答えよりも「you(あなた)」という言葉を392%多く使用し、「they(彼/彼女ら)」という言葉を90%多く使用していた。
ここで、候補者に対して上司から厳しいフィードバックを受けたときのことを尋ねたとしよう。悪い答えは「厳しいフィードバックを受けた場合は、必ずより多くの情報を求めるべきです」かもしれないが、良い答えは「私は先月、厳しいフィードバックを受け、次のようなことをしました」となるかもしれない。
悪い答えでは、特定の例を避けていることや、非常に具体的な質問に対し仮説的な答えで返していることに気づいただろうか? これは問題を示すサインだ。それと対照的に良い答えは質問を回避せず、特定の例を挙げている。
面接での質問に対する悪い答えには、良い答えと比べて現在系の動詞が104%多く含まれていて、副詞は40%多く、ネガティブな感情は92%、「いつも」「絶対」「紛れもなく」などの絶対的な言葉は103%多かった。候補者が選ぶ言葉は、新入社員としての成功の可能性について強力な合図を送っているのだ。
面接の主導権は?
この1文をビデオ面接で尋ねることが非常に重要な2つ目の理由は、面接の主導権を握っているのが誰かということをさりげなく明確に確立する点だ。多くの候補者は、立場を逆転させて面接の主導権を得る手段として面接官に質問するよう教えられている。しかし、そうさせてしまえば候補者の言葉遣いなどを通して正確に候補者を評価できなくなる。
明確な境界線を先に確立しておけば、面接で起きるかもしれない力を巡る駆け引きを避けることができる。あなたの方では、相手について知るために20~30分(あるいは自分で決めた時間)を使うと既に明確に述べているし、最後に質問をするための時間を10~20分ほど残していることも明らかにしている。そのため、この時間外で質問をされたら「その質問は後に取っておきましょう」と言うことができる。
採用のための宣伝は控える
先述の文章を述べることが効果的な3つ目の理由は、面接官が採用のための宣伝を面接の最後まで残しておくよう強いるからだ。面接官が犯す大きな間違いの一つに、面接と採用のための宣伝活動を組み合わせようとすることがあるが、この2つの作業を組み合わせるとどちらもうまく行かない。
面接官は面接中、話すのをやめて聞かなければならない。面接官は面接時間の10%以上を話すことに費やすべきではないのだ。30分の面接で15分を採用のための宣伝活動に割いていたらどうだろう? 30分の面接であれば、面接官は3分以上話すべきではない。
人材を必要としている管理職にとってこれは非常に苦しい制約だが、面接の最初にここに挙げたシンプルな文章を述べれば、自分自身に境界線を設けることができて脱線せずに済むはずだ。