シェア前に内容確認の注意喚起 ツイッターの実験から分かったこと

(Westend61 / by Getty Images)

他人の投稿をリツイートする前に記事の全文を読ませようというツイッターの実験的な試みには、感心している。5月に一部ユーザーを対象にして始まった試験のこれまでの成果として、記事を読んでからシェアするよう促すメッセージを表示することで、ユーザーが実際に記事を開く確率が40%上昇したことが分かっている。ただ、共有前に記事の内容をどこまで読んでいるかは確認できない。

ツイッターはいわば「バイラル天国」で、あらゆる情報が飛び交っているため、ユーザーは十分な数のアカウントをフォローしてタイムラインを眺めていれば、世界で起きていることの全てがわかると思いがちだ。しかし、外部コンテンツへのリンクを含んだツイートの比率は増加傾向にあり、有益な情報とそうでない情報の識別が複雑化している。多くの人は習慣的に、見出しや抜粋、画像だけを見て外部コンテンツの内容を判断してしまう。

コンテンツクリエイターの立場からすれば、効果は目に見えやすい。記事を投稿するとすぐに、他のユーザーに共有される。善意からの行為ではあるが、全文を読んで十分理解する時間を取っていないことは明らかだ。共有する側は、自分がフォローしている人は信頼が置けるという理由で、このむやみな行為を正当化しがちだ。しかし、どんなに優秀なライターでも間違いはあり、紛らわしい見出しを作るメディアも多い今の時代、周囲に共有する情報は事前に内容をよく読むのが賢明だ。

ツイッター運営側は、あるユーザーがタイムラインの記事をきちんと読んでから共有しているかどうかを判断することは非常に簡単なはずで、今回の注意喚起文が導入されたのもそれが理由だ。内容を読んでいないコンテンツを共有する行為が、十分な情報に基づく会話につながらないことは明らかだ。

人は注意喚起をされない限り記事を共有する前に内容を読まないという事実には考えさせられる。私たちはソーシャルメディア上で何をしているのだろうか? 見出しや添付画像だけしか見ていないにもかかわらず、自分の考えを裏付けると思える記事を共有すること? あるいは、自分が内容を読んだと周囲に思わせたい記事を共有すること? それとも、その両方だろうか?

ソーシャルメディアがうわさやフェイクニュース、偽情報の拡散の温床となっていることは、驚くべきことなのだろうか? ツイッターによる試験は、多くの答えを示している。あとは、私たちが状況改善に取り組む決意を持つのみだ。それにはもちろん、自分自身の行動から変える必要がある。

編集=遠藤宗生

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