「疫病に克つ宿命の五輪。東京はその大役を担う」筑波大・真田久 #東京オリパラ開催なら

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もう一点は、「テクノロジー」。テクノロジーを駆使して会場の臨場感をどう表現するか。観客数が制限される場合には特に、観客のことをあまり気にせずに、カメラワークの視点で映像を撮ることが可能になる。これまでにはない映像が作られると思います。
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このように、今までのオリンピック・パラリンピックとは違う形での価値が付加されて、大会開催後は必ず特別な大会として歴史に刻まれていくでしょう。


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日本社会が得られる影響は


東京オリンピック・パラリンピックは、世界が協調していくことの大切さを再確認する場になると思います。困難なことがあっても、それを乗り越えていく行為そのものが尊いということ。大変な状況にも、自分たちが他者に対して何ができるかという「利他」の考えが広がっていく機会になります。
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現在、様々な差別や格差などが問題になっていますが、困っている人に対して自分はどう貢献できるかという「善意」も広がっています。例えば、筑波大学で学生達の経済的支援のため、食糧や飲料を寄付してほしいと呼び掛けたら、20tもの食材が集まり、2500人以上の学生で分かち合うことができました。

多様性を求めつつ、さらにオリンピックの価値の原点に戻ることで、自分には何ができるのかを考え実践する理想的な社会に近づいていくと思います。

オリンピックの原点を歴史から紐解く


そもそも今日の近代オリンピックは、古代オリンピックをモデルとして始まりました。古代オリンピックは紀元前776年から紀元後393年まで約1200年間続き、「戦争」と「疫病」からの復興という願いから生まれました。

当時ギリシャは、小さな国に分かれており、国同士が戦争を頻繁に行っていました。戦争だけではなく、疫病も流行った時にもなんとかこの苦しみから逃れたいとして、エリスのイフィトスという王様がデルフォイにあるアポロンの神殿に神のお告げを聞きに使いを出した。アポロ神殿で、「戦争を休止し、オリンピアで競技祭を再開せよ」という神託が下ったことから、オリンピアで競技祭を始めたのです。


デルフォイのアポロン神殿(撮影:真田久)

その後1200年間オリンピックは続き、もちろんずっと平和であったわけではなかったですが、開催期間中は平和が保たれていました。大会は、疫病にも結局おかされなかった。

「戦争」と「疫病」からの復興を目指して古代オリンピックが始まったということ、これが今日のオリンピックの原点です。そして、その原点の問題が現在、東京2020大会に降りかかっている。原点の問題なのですから、今回も絶対に乗り越えなければいけないし、新しいオリンピックの歴史がまたここから1200年続くのではないかと思います。
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文=塚本拓也 編集=宇藤智子

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