ミシェル夫人は10月6日、「Closing Argument(最終弁論)」のタイトルをつけた25分間の動画をユーチューブに投稿。米国に“混乱をもたらした”として、大統領を糾弾した。
収束の兆しをみせない新型コロナウイルスのパンデミックや、人種差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター」運動への対応、米軍を侮辱したと報じられていることまで、大統領を巡る数々の問題に触れた元ファーストレディーは、これらは“息をのむほど” の失敗だとして、大統領は「あらゆる面で“無能だ”」と容赦なく切り捨てている。
パンデミックへの対応については、トランプ自身とその周辺で感染者が相次いでいることを挙げ、次のように語った。
「ほかの国々も米国も、同じウイルスの脅威に見舞われました」「ですが、各国には、この大統領と闘う必要がありませんでした。あらゆるリソースを自由に使うことができ、最高の医療の専門家たちと知性がありながら、それでもあらゆる助言を無視し、計画を立てることができなかった大統領です」
ミシェル夫人はさらに、「このウイルスによる米国での死者数は現在までに、イラク、アフガニスタン、ベトナム、韓国との戦争での死者の合計を上回っています」と述べ、“戦闘中行方不明”の米軍最高司令官を批判した。
そのほか、西海岸で猛威を振るう山火事や、白人警官に殺害され、反人種差別運動が高まるきっかけとなったジョージ・フロイドの事件など、米国が最近になって直面しているその他の問題についても言及。大統領は人種差別主義者だと訴えている。
「彼らは黒人やブラウンの人々の恐怖心をかき立て、マイノリティーの人々が郊外を破壊するとうそをつき、暴力や威嚇する行為をあおり、人種間の結束を目指す非常に平和的だった運動に、それらの責任のすべてを負わせています」
「繰り返しますが、大統領がしていることは、明らかに間違っています。道徳的に誤っています…そうです、人種差別です」
「この大統領が本当に、本当に得意なことの一つは、勝つために恐怖と混乱を利用すること、うそを広めることです」「こうしたうそや、常軌を逸した陰謀説を繰り返し何度も聞かされれば、国民はどう考えればいいのか分からなくなります。分別のある人たちでも、恐怖を感じるかもしれません」
選挙戦が終盤に入るまでは、ミシェル夫人はそれほど直接的に大統領を非難することはなかった。だが、8月に行われた民主党全国大会での演説でも、トランプは「明らかに(難しすぎて)理解できていない」「私たちの国の大統領にふさわしくない」と酷評していた。
今も高い支持率
在任中から高い支持率を維持しているミシェル夫人とオバマ前大統領は、有権者に対してかなりの影響力を持っている。夫人の支持率は、ホワイトハウスを去るときでも68%にのぼり、夫の前大統領を10ポイント上回っていた。