トヨタと日野が北米に投入する「燃料電池トラック」への期待

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トヨタは以前から水素燃料電池の研究を進めてきたが、同社は子会社の日野自動車と共同で、CO2を排出しない大型トラックを北米市場に投入することを明らかにした。まずは、プロトタイプを来年日本で開発するという。

トヨタはこの数年間、トラックメーカー「ケンワース(Kenworth)」と共同で、燃料電池大型トラックのテストをロサンゼルス港で行ってきた。同社によると、新たに開発する燃料電池(FC)トラックのシャシーは、日野自動車の「XLシリーズ」をベースにしているという。

トヨタと日野は、日本市場向けにも25トンの燃料電池トラックを開発しており、2021年前半にテストを開始する予定だという。

トヨタ・リサーチ・アンド・デベロップメントのシニア・エグゼクティブ・エンジニアである横尾将士は、声明の中で次のように述べている。「静粛性、スムースな走り、そしてパワフルな走行性能を実現したうえで、走行時に排出するのは水だけです。トヨタが20年以上にわたって開発してきた燃料電池技術と、日野の大型トラックに関する知見を組み合わせることで、革新的で競争力のある製品を生み出すことができるでしょう」

トヨタは、トラックの販売時期や航続距離、仕様などの詳細情報をまだ開示していない。ロサンゼルスでテスト中のケンワース製トラックは、1回の水素充填で200マイル(320キロ)を走行可能だ。同社は、来年までにロサンゼルス港で10〜12台を運用する予定で、港内にあるトヨタの施設では、大規模な水素ステーションを建設中だ。

トヨタ以外にも、ダイムラーが燃料電池トラックの開発に乗り出している。一方でこの分野のリーダーを目指す新興メーカー「ニコラ(Nikola)」は、技術について虚偽の説明をしていた疑いが浮上し、投資家や顧客の信頼を取り戻すのに躍起になっている。

告発したヒンデンブルグ・リサーチは、ニコラ株の空売りを仕掛け、ニコラ創業者のトレバー・ミルトンは9月に辞任した。しかし、現CEOで会長のスティーブ・ガースキーは、市場への製品投入を当初の計画通り実行すると述べている。
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編集=上田裕資

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