犬は急速に大人になり、それからゆっくり年を取る
イデカー教授によれば、犬と人間の年齢の関係性はわれわれが信じこまされていた「犬の年齢は人間の7倍」というほど単純ではない。むしろ、犬は生まれてから2、3年で急速に老化する。1歳の犬のメチル基は7歳の人間よりも30歳の人間に近いそうだ。年を取るにつれ、犬の老化速度は遅くなる。
Getty Images
ワンの研究はラブラドール・レトリバーに特化したものなので、犬種が違えば老化曲線も変わってくる可能性があると教授は考えている。犬種ごとの老化曲線を対比して、犬種による違いを見るのが次の研究テーマになるかもしれない。
ドイツ・ドルトムント –4月5日付ビルト紙に掲載されたブラック・ラブラドール・レトリバー(Getty Images)
また、メチル基研究の一環として、加齢を遅らせるにはどのようなライフスタイルが効果的なのかについても研究中だ。カロリー制限ダイエットは多くの脊椎動物の老化を遅らせる効果があるのは間違いないらしい。
こうした研究にはリスクが伴う。イデカー教授は、生命保険会社が人間の健康状態を予測するのにメチル基を利用するのではないかと心配している。とはいえ、人間が健康的に年をとっていくのを助ける医療のサポートという面で、この研究が役立つ可能性はきわめて大きい。