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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

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長年にわたりインターネットに関する記事を頻繁に執筆してきた私は、もはやどんなものにも驚かなくなってしまったと思っていたが、そんな私でも開いた口がふさがらないようなことが起きている。

中国のeコマース企業から世界中の人々に植物の種子が入った小包が届いている現象については、少し前から書きたいと思っていた。そうした小包のほとんどは、受取人が注文した覚えのないものだ。あまりのスケールの大きさに、米当局はバイオテロを疑い、受取人に対して、届いた種子を米農務省での調査のために送付するか、破棄するよう要請。しかしこの警告もむなしく、米国人の多くは受け取った種を植えたり、種子を食べたりした人すらもいたという。

幸いにも、これは全米に危険な植物を拡散させたり、大量の中毒者を出したりするようなバイオテロの計画ではなかった。多くの場合、種子は無害で、受取人の情報を使用して作られた偽アカウントを通じて送られていた(個人情報が流出したことは懸念すべきだ)。その目的は、特定の商品の評判を高めるためのうそのレビューを投稿することだ。

この詐欺行為はいったい、どれほどの規模で横行しているのだろうか? 全容を把握することは難しいが、膨大な数であることは間違いない。「ブラッシング詐欺」と呼ばれるこの手口は、中国では何年も前から横行していた。背景には、同国でのeコマースの目覚ましい普及がある。

注文の多くは偽装で、商品の評価改善と売上増大のために利用され、特に「独身の日」セールなどのイベント直前には多く行われる。激しい競争と、販売数量や商品レビューの良し悪しに基づく検索ランキングの存在が、こうした偽装販売・やらせレビュー業者の広大なエコシステムを作り出しているのだ。

状況を見かねた中国政府はついに、eコマース企業の架空販売に対する課税を決めた。対象となるのは過去3年間に行われた販売で、課税額の多くは巨額となる。架空販売はあまりにも広く行われていたため、小規模eコマース企業の多くが破綻に追い込まれる可能性があり、関連企業の間には恐怖が広がっている。

実在する顧客の情報を無断使用した偽装注文で、無価値の物を入れた荷物や空の小包を送りつけ、勝手に作成した偽アカウントで良い商品レビューをでっち上げるなどという手口を確立するとは、何とばかげた行為だろう。短期間でのグロースハックという荒唐無稽な慣習は、いったいどこまで続くのだろうか。

編集=遠藤宗生

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