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2020.10.10 12:00

モデルで慈善家で投資家、ナタリア・ヴォディアノヴァの原点


ヴォディアノヴァはちょうどその頃、付き合い始めたばかりのボーイフレンドに説得されて、モデルのオーディションに参加した。そこで誰かが撮影した彼女の写真はのちに、モデルをスカウトしていたロシア人、Alexey Vasilievの目に留まる。Vasilievは、映画『007 慰めの報酬』でボンドガールを務めたオルガ・キュリレンコを見出した人物だ。

まもなくヴォディアノヴァはモデル事務所と契約を結び、3カ月にわたって英語の特訓を受けた。そして17歳でパリに飛び、世界的な大手モデル事務所Viva Modelsに所属した。

フランスに着いた彼女が初めにとった行動は、新しいモデル事務所に、母親の借金を返すために5000ドルを前払いしてほしいと頼むことだった。

ほどなくして彼女は、「スーパーノヴァ」と呼ばれるようになった。その活躍を、人類が知り得るなかで最も規模が大きく最も明るい恒星の爆発現象スーパーノヴァ(超新星)にたとえたニックネームだ。

ヴォディアノヴァは、著名ファッションブランドのイヴ・サンローランやグッチ、シャネルのモデルとしてランウェイを歩き、広告キャンペーンに起用され、頻繁に雑誌の表紙を飾るようになった。


カルバン・クラインのファッションショーにて(2003年撮影、Getty Images)

私生活も一気に好転した。英国の貴族で資産家のジャスティン・ポートマン(Justin Portman)と結婚し、19歳で長男ルーカスを出産。その直後の2004年には、カルバン・クラインやロレアルと数百万ドル規模の契約を結んだ。

一方で、同年9月、ロシアの北オセチア共和国ベスラン市にある中学校が武装集団に占拠され、子ども186人を含む333人の人質が犠牲になるという事件が発生した。ひどく心を痛めたヴォディアノヴァは、慈善団体「ネイキッド・ハート財団」を設立。ロシアの貧困地域に住む子どもたちのために遊び場を作ったり、里親や、障がい児を育てる家族を支援したりする活動を始めた。

ヴォディアノヴァはその後、長女ネヴァと次男ヴィクターを授かった。


ネイキッド・ハート財団のイベントにてにて(2019年撮影、Getty Images)
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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