ビジネス

2020.10.08

「すごい会社」を見つけよう ──関東・中部編

日本にはまだまだ全国区で名の知れていない「すごい会社」が存在する


世界と地元を同時に底上げする、「管」の何でも屋

〜栃木精工(栃木県栃木市)〜


屋注射針用ステンレスパイプなど、医療分野を中心に高品質な製品を開発

スモール・ジャイアンツの審査基準のひとつに「地域への貢献」がある。栃木精工は雇用だけでなく、地場に技術を供与する共同開発を念頭に経営をしている。

「管(くだ)の何でも屋」を標榜し、注射針用ステンレスパイプ、OA用精密パイプ、分析機用精密パイプなどを展開。収益柱の医療機器向けでは、歯科用麻酔針やカテーテル、ポンプチューブ、医療用コネクタ、内視鏡用構成部品といった管状の製品や、優れた操作性と強力な耐久性を持つブラシ関連製品などを手がけており、世界の医療現場に貢献。売り上げの4割を海外から稼ぎ出している。

製品の仕入れはほとんどが県内企業から。部門ごとの損益は全社員に公開し、各自が経営を自分ゴト化することで、組織力を高めており、業績は10年連続で伸びている。その一方で、地場の200社に技術を提供し、共同開発という形で底上げを図る。地域を支える重要な存在となっているのだ。直近では新型コロナウイルスの影響で需要増加が見込まれる呼吸器系のチューブを開発中である。

人体内部から宇宙空間まで「フィルター界の総合デパート」

〜富士フィルター工業(東京都中央区)〜


業種を問わずありとあらゆるフィルター製品をグローバルで展開

スモール・ジャイアンツでは中小企業でも世界中で商品やサービスを浸透させている例を取り上げてきたが、富士フィルター工業のすごさは、代理店や販売会社を通さずに、55カ国以上を独自でカバーしていることだ。

同社は、高精度の産業用フィルターとフィルターシステムの開発・設計・製造・販売を一貫して行うフィルターの総合エンジニアリング会社である。フィルター会社は特定産業に特化する場合が多いが、私たちの身の回りにあるあらゆるフィルターを手掛けている。一般化学、食品、医薬品、自動車、航空・宇宙、家電、IT、クリーンエネルギーなど、まさにフィルターのデパートのような稀な存在だ。

審査会での評価された点は、中小規模ながら、これだけの領域で世界で戦えている点と、フィルターの市場規模がは大きく、今後の発展が予測される点である。そしてもうひとつ、「世界で一番社員がHappy」という企業理念。社員を大事にする企業は、これからの日本社会でますます重要になる。
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文=Forbes JAPANスモール・ジャイアンツ特別取材班

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