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日本にはまだまだ全国区で名の知れていない「すごい会社」が存在する

「コロナ禍はモノサシを変えた」といわれている。これまで会社の価値を測るモノサシは、組織の規模、売り上げや利益の大きさ、知名度といったものが典型だった。しかし、コロナ禍で同じ業種でも会社によって明暗が分かれているように、規模の大きさなどでは測れなくなっている。将来の予測になると、もっと難しい。

「モノサシを変えよう」をテーマにしてきたのが、今年4年目となるForbesJAPANの「スモール・ジャイアンツ」アワードだ。組織は「スモール」でも、価値や影響力は「ジャイアンツ」。どんな工夫で「すごい会社」になったのか。10月13日から全国を4ブロックに分けた地方大会をオンラインで開催する。

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経営者たちが苦心してきた工夫に耳を傾ける前に、第一次審査を通過した企業をここに紹介しよう。目利きであるアドバイザリーボードが推薦してきた100社以上の企業から一次審査を通過した会社である。


関東・中部地区

世界に先駆けた自律型組織のパイオニアは立川にいた

〜メトロール(東京都立川市)〜


2009年に会社を継いだ2代目の松橋卓司社長は高収益を生む自立型組織をつくりあげた

工場の自動化に必要な「高精度工業用センサー」の、開発・製造・販売を行う。主力商材はロボットや工作機器の工具の先端の位置を精密に決める「精密位置決めスイッチ」というもの。約70カ国に展開していて、世界トップシェアを誇る。ただ、この会社が世界の最先端を走るのは、技術だけではなく、売り方と働き方にある。

中小企業には「黒字倒産」という事例が跡を絶たない。立場が弱く、特に海外での販売は売掛金を回収しにくいという事情がある。そこで同社は1998年頃からインターネットで海外への直接販売を開始。決済は円建ての前払いか、クレジットカードやPayPalによる電子決済で行い、キャッシュフローを安定化させている。

また、人事、総務、経理といった間接部門をデジタル化によって廃止し、社員が本業に集中できる体制にしている。さらに、役職もすべて廃した。全員が同じ立場で、プロジェクトごとにのリーダーを決めて組織運営をしているのだ。まだ日本ではピラミッド型の組織が当たり前で、同社のような平等のホラクラシー型組織はほとんど浸透していない。これに近い「ティール組織」という概念が日本に上陸したのも、ここ数年のことだ。メトロールが経常利益率20%と高収益を実現した背景には、「働き方」の独自性があったわけだ。

勝負の土俵は海外。飲食料メーカーのスモール・ジャイアンツ

〜中央葡萄酒(山梨県甲州市)〜


山梨のワイン業界の重鎮として知られている三澤茂計社長は一切の妥協を許さない

日本のワイナリーのほとんどが国内市場しか見ていないなか、いち早く海外展開を試みて、世界で勝負するのが「グレイス(GRACE)」ブランドだ。

2014年、「キュヴェ三澤明野甲州2013」が世界最大のワインコンクール「Decanter World Wine Awards」で日本ワイン初の金賞を受賞。以後、6年連続で何らかの受賞の栄誉に浴する。現社長の三澤茂計は山梨のワイン業界の重鎮として知られており、フランスのワイナリーで修行を積んだ娘の彩奈氏が栽培・醸造を仕切っている。三澤親子は、『日本のワインで奇跡を起こす』という著作があり、そのタイトル通り、親子での奮闘が描かれている。

同社は欧州に加え、近年は豪州やシンガポール、香港、台湾などにも進出し、約20カ国に対して年間1万5000本を輸出。ワインの価値は受賞歴ではなく、つくり手によって決まると捉え、「風景がワインになっているか」という目線できめ細やかなワインづくりを追求している。

文=Forbes JAPANスモール・ジャイアンツ特別取材班

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