経営者の手腕で日本スポーツ界に寄与してきた半世紀|堤 義明(後編)



ウィルチェアーラグビー(2016年/リオデジャネイロ・パラリンピック)

──いよいよ目の前に迫ってきている2度目の東京オリンピック・パラリンピック開催の意義については、どのように感じられていますでしょうか?

世界最高峰のスポーツの祭典であるオリンピックというのは、人が見て「こんなにすごいことができるんだ」と感動するものだと思うんですね。それによって、多くの人たちがスポーツに関心を持つこと。それが大切だと思います。パラリンピックも同じではないでしょうか。障がいがあって、これまでは自宅にいることが多かった人たちが、パラリンピックを見て、「自分ももっと外で動いてみよう」というふうに思えるきっかけとなればいいなと思います。

──未来の日本に託したいこととは何でしょうか?

スポーツの最大の役割というのは、人の心を豊かにすることだと思います。いきいきとした人生を送ること、つまり娯楽性に富んだものなんですね。ですから、スポーツには生産性はないのだけれども、その生産性のあることに従事している人たちに刺激を与えることだと思います。

今、オリンピックやパラリンピックで勝つことだけがフォーカスされていますが、本来の目的というのは国民がスポーツに関心を寄せて親しんでもらい、それによって心が豊かになり、体が健康になる、そのきっかけになることだと思います。
そういう本来の目的を忘れてほしくないなと思います。

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(この記事は、笹川スポーツ財団「スポーツ 歴史の検証」から転載したものです。*無断転載禁止)

連載:スポーツ×ソーシャルイノベーションで切り拓く未来
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聞き手=佐野慎輔 文=斉藤寿子 写真=フォート・キシモト 取材日=2020年1月31日

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