「性的同意」を常識に──性被害に苦しむ人に寄り添う「ミモザ」始動

左から順に、非営利団体「mimosas」を立ち上げたみたらし加奈さん、疋田万理さん、伊藤詩織さん


ミモザはいま、インスタグラムやツイッター、noteなどを活用して、メディアとして発信を始めている。今後、どんな展開をしていくのだろうか。万理さんは「内閣府などの行政機関、支援センターや相談ダイヤルとも、連携を取っていきたい」と語る。

ミモザの今後:2025年までに「性的同意」をどう広めるか


そして、イギリスの警察署が2015年に公開したアニメーション動画「Tea and Consent」を紹介。「性的同意」の概念を広めるため、セックスを紅茶に置き換えて説明し、「欲しくない人に紅茶を飲ませることがどれほど馬鹿らしいことか理解できるのなら、セックスも同じです。同意が全てなのです」と呼びかけるものだ。



ミモザでは、このような性教育についての映像制作も手がけていく。詩織さんも「例えば、日本では水着で隠れているところはプライベートゾーンということは学校で教えてもらえない。実際に小児わいせつが起きているように、小さな子が被害にあっても、何をされているのか分からない。学校では難しければ、周りの大人が教えられるように。海外には、素晴らしい例がたくさんあるので、日本版も発信していきたい」と意気込む。

加奈さんは臨床心理士として「いまも弁護士などと連携しているけれど、もっと専門家を増やして、ミモザ自体が相談できるプラットフォームに、受け皿になりたい」と語った。

伊藤詩織さん
映像制作などでミモザの活動に協力していく伊藤詩織さん。性的同意について身近な問題に感じてもらう工夫をしていきたいという

万理さんは「性的同意」という言葉を2025年までに広げていきたいという。「嫌だったらNo、よかったらYesというカルチャーが大切。ミモザでは、そのために必要なことをシェアしやすい情報を提供していきたい」。加奈さんは「世の中を変えるにはマスに広がっていく必要がある。会場にいる人はもしかしたらマイノリティかもしれない。家族でも話せるようにできたら」、詩織さんは「ニュースって遠い世界の話に聞こえる。それを身近に感じてもらえるようにするには、近くで起きていることであることを伝えたい」と話した。

日本では2017年に、110年ぶりに刑法の性犯罪規定が改正されたものの、課題は多く残されている。「性交同意年齢」は13歳とされ、海外に比べて低い。13歳未満の場合は、「性的同意」の有無にかかわらず加害者は処罰の対象となるが、13歳以上であれば、性行為に同意する能力があると見なされる。

一方、韓国では2020年5月に、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられた。このほか、イギリスやカナダも16歳だ。積極的な同意(Yes)のみを性的同意とみなす「Yes means Yes」法と呼ばれ、先進的な性犯罪規定を持つスウェーデンでは、性交同意年齢は15歳とされる。今年は、日本でも性犯罪刑法の見直しの年として、法務省で性犯罪規定について議論が進められているところだ。

文、写真=督あかり

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