「性的同意」を常識に──性被害に苦しむ人に寄り添う「ミモザ」始動

左から順に、非営利団体「mimosas」を立ち上げたみたらし加奈さん、疋田万理さん、伊藤詩織さん


10月1日にミモザは、詩織さんのほか、女優の東ちづるさんやLGBTQの就職支援を行う星賢人さん、東京新聞記者の望月衣塑子さんなどからの応援メッセージの動画を発表した。万理さんは「自分を大切にするのは簡単そうで難しい。詩織の『自分を信じてあげて』という言葉は、なぜそう伝えようと思ったの?」と聞いた。



詩織さんは「私自身、自分が悪かったと言われることがあった。そういう意見があることは受け止めていたけれど、実際には自分でも気づかないくらい傷ついた。いくら傷が見えなくても、時が解決してくれると言われても、そうではなかった。警察に届ける時も、蓋をしようか迷った。自分が一番わかっているのに自分が耳を傾けていなかったという経験があるから、伝えたいと思った。その時に誰にも言わないというのもサバイバルだけど、自分を信じることは諦めないでほしい」と語った。

人によって性被害の受け止め方は千差万別だが、「笑ってごまかそうとするのは防衛反応」と加奈さんは指摘する。「ショッキングな出来事やびっくりすることがあると、辛さが半減するかもしれないという期待から、笑ってごまかしたり、何もなかったかのようにしたりする。だから自分の心の声に耳を傾けるのは難しいこと」。では、どのようにすればいいのか。

加奈さんは「本当は体にその反応が出てくるので、体のサインに耳を傾けてほしい。呼吸が浅い、汗が出る、動悸がするなど。そして、自分は苦しいっていうのを信じてあげて」と呼びかけた。

セクハラや性暴力の相談を受けたら、あなたはどうする?


クロース・ライン
参加者のメッセージが掲げられたアート作品『The Clothesline(クロースライン)』

会場内に展示された参加型アート作品『The Clothesline(クロースライン)』には、参加者が書き込んだ「セクハラや性暴力を受けた時にかけたいメッセージ」が掲げられていた。

「あなたはひとりじゃないよ。だからひとりで抱えないで。悲しまないで。世界中には味方はたくさんいるから」「いやならいやと言ってもいいんだよ。でもこわいよね。つらいね」「抱きしめる。そして、共に戦う」

疋田万理さん
ミモザの代表を務める疋田万理さん。性被害にあった人たちに本当に求められている情報を提供していきたいという

万理さんは「セクハラや性暴力を受けたことを相談された時に、なんて声をかけるべきか、学ぶ必要があると思う。どんな声をかけてあげるべきなのかな」と問いかけた。詩織さんは自身の経験から「親友に話した時に、彼女が『うちにおいでよ』と言ってくれて、一緒に過ごした。そして、それがいかにひどいことか、犯罪であることを気づかせてくれた。日常生活を続けるためにも、サポートするのは大事だと思う」と語った。加奈さんは「人の心って十人十色。だからこそ専門家がいる。日本では、自分がケアを受けるべきステップか、分からない人が多い。そばにいてあげて、カウンセラーに行ってみない?と誘ってみるのも一つの手段」と話した。
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文、写真=督あかり

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