2020年の最優秀ストアデザイン賞を獲得したのは、シンガポールの通信企業シンガポール・テレコム(シングテル)と、同社の無人ポップアップストア「Unboxed(アンボックスト)」だ。
シングテルはこの無人ポップアップストアを2019年に開始し、自社のサービスをデジタル化して年中無休で24時間利用できるようにした。このストアでは幅広いサービスが提供される。消費者は、移動式のライブロボットを通じてシングテルのスタッフとやりとりし、個々人に応じたアドバイスを受けることが可能だ。
各種の携帯電話をその場で試し、ビデオ支援型のセルフサービス・キヨスクを通じてプランを契約できる。あるいは、オンラインで注文したものをストア内で受けとることもできる。この無人ポップアップストアではそのほか、電話料金の支払い、プリペイドカードのチャージ、SIMカードの交換といったサービスにも対応している。
総合デザイン会社フィッチ(FITCH)が設計したこの広さ45平方メートルのストアは、モジュール型の可動式なので、簡単に運んで、さまざまなスペースに設置することができる。数か月ごとに新たな場所へ移動し、交通拠点や学校のキャンパスのような人の集まるエリアで消費者にサービスを提供する。
Unboxedは5Gインターネットにより強化され、ストア体験がハイパー接続でアップグレードされている。より速く、より信頼性の高いネットワークを提供する5G技術により、モノのインターネット(IoT)、人工知能、店内でのリアルタイム分析に対応し、パーソナライズされてシームレスなショッピング体験を実現できるようになった。
シングテルの最高デジタル責任者であり、2021年からのCEO就任が決まっているユエン・クアンムン(Yuen Kuan Moon)は、以下のように述べている。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は多くの人をデジタル化された新たな生活様式へと導き、オンラインとオフラインからなるハイブリッド小売モデルへ向かう小売業界の根本的な変化を加速させている。当社のポップアップストアにおける5G導入は、超高速と低遅延により、デジタル志向の消費者にとってセルフサービス小売モデルをいっそう魅力的なものにするという点で時宜にかなっている」
消費者は現在、オンラインでのバーチャルツアーを通じて、自宅でくつろぎながら安全に、このポップアップストアを体験することもできる。