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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介


好例がジョージ・フロイド殺害事件に関連した「BlackLivesMatter」のデモで活動家に広くシェアされた「反監視メイクアップ」だ。テクニカルなメイクを顔に施し、防犯カメラの顔認識システムを撹乱する。反監視はメディアアーティストの王道コンセプトだが、実社会で注目を集めたことは、これからのデモクラシーに必要なテクノロジーとは何かを示唆していると言える。

「VOGUE」によれば、そのメイクアップは「ComputerVision Dazzle(C.V. Dazzle)」と呼ばれ、2010年にアーティストのアダム・ハーヴェイによって生み出されたものだ。顔認識システムは、唇や眉毛など、顔にある「エッジ」から特徴を捉える。キュビストが描く絵のようなメイクアップを施し、これらのエッジを追加することで、認識率を下げることができる可能性があるという。また、透明な反監視マスク「surveillance exclusion」など、アーティストによってウェアラブルのデバイスも多数制作されている。

AI(人工知能)が潜在的に持つ特定の人種へのバイアス、WHO(世界保健機関)もカンファレンス「infodemiology」を開くなど対応に乗り出した「インフォデミック(誤情報の拡散による社会的被害の発生)」など、とくにビッグテックに関連したテクノロジーのダウンサイド(下振れ)はその多くが未解決だ。

私たちを取り囲む情報のセカンド・ネイチャーは人知れず私たちの想像力を支配し、生活を監視する。これからのテクノロジーには、セカンド・ネイチャーをハックし、新たな自由を希求することが使命のひとつになるだろう。私たちのデモクラシーとアイデンティティを守るために。


もり・あきひこ◎メディアリサーチャー。『WIRED』日本版などでテクノロジー、サイエンス、メディアアートに関するインタビュー記事、論考などを寄稿している。2019年9月よりロンドン芸術大学大学院修士課程(在学中)。専攻は「メディア、コミュニケーションおよび批判的実践(メディアスタディ)」。

文=森 旭彦

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