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朝日新聞外交専門記者


国際社会で、日本の習慣はなかなか理解されにくい。例えば、日本では相手の目を見て話すことは失礼だとされ、鼻の下やネクタイの結び目あたりを見て会話するのが良いとされてきた。ただ、欧米では、相手の目を見ないで話すと、「何か隠し事をしているのかもしれない」と思われてしまう。日本人特有の「前向きに検討します」といったあいまいな態度も嫌われる。先述の外交官は「小泉や安倍以外の日本のリーダーはおおむね、ダークスーツを着て、表情も陰気なイメージがあって、苦労してきたね」と話す。

では、菅首相はどうだろうか。どうも、官房長官時代の木で鼻をくくったような記者会見のイメージが強いが、そうとも言い切れないようだ。菅氏は官房長官時代、米国のハガティ駐日大使(2017~19年)と毎月1回は朝食を共にしていた。冒頭、その時々に米国に伝えるべきことはトーキングポイントを見て語ったが、それが済むとかなりリラックスした調子で、にこやかに歓談していたという。韓国の柳興洙駐日大使(14~16年)とも、2カ月に1度のペースで会食していた。柳氏によれば、菅氏は「昔、済州島に遊びに行ったときに食べた参鶏湯の味が忘れられない」などと語り、柳氏を喜ばせたという。

別の在京の外交官は「菅氏は慎重な性格のようだ。最初は取っつきにくいと思われるかもしれないが、慣れてくれば、国際社会で十分やっていけるのではないか」と語る。

そして、こう付け加えた。「日本の指導者がよくやる、ファーストネームで呼び合うことを宣伝するのは余り意味がないね。欧米社会では1度食事をすれば、その後はファーストネームで呼び合うのが当たり前だから。あの仲の悪いトランプとメルケルだって、お互いにアンゲラ、ドナルドって呼び合ってるからね」

ドナルドやウラジーミルと呼べたから大成功、というわけではないようだ。

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文=牧野愛博

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