HIROに聞く、LDHのライブの今後とこれからのエンタテイメント

LDHのオンラインライブシリーズ「LIVE×ONLINE IMAGINATION」。写真は9月26日に行われた三代目 J SOUL BROTHERSのライブ。


──この前代未聞の事態において、HIROさんはどんなマインドや指針を社内のスタッフやアーティストのみなさんに向けてお話されていますか?

今取り組むべきこと、今後に向けて準備しておくべきこと、そして未来に向けての明確なビジョンを掲げて、旗を振っています。そして、「絶えず状況が変わるけど、こういう場合はこうします」というのを何パターンも想定し、その進捗状況を把握してもらうよう、絶えずコミュニケーションをとっています。

毎朝、全社員にメッセージを送るということは、もう何年もやっているんです。それは自分が心配性だからというのもあるのですが(笑)。

今は意識改革を徹底して、とにかく今できることに対して常に最善を尽くすこと、未来をイメージして準備すること。それをチーム全員で共有して、何事に対しても共通認識を持って進んでいくことが大事だと思っています。

僕らは全然売れてない頃からずっと「ピンチはチャンス」と、その都度ピンチを乗り越えてきていますし、その繰り返しで今に至るので、今は不安というよりも「どうやってコロナに打ち勝つか」というマインドになっているメンバーが多いですね。いい意味で危機感があって、それが結束力や仲間意識につながって「みんなでLDHを盛り上げていくぞ」となっているので、組織のありがたさとかチームの輪の強さを改めて感じています。

特にEXILE TRIBEのアーティストの子たちは「会社を引っ張るぞ」と思ってくれている印象があります。もちろん社員、スタッフもみんな頑張ってくれていますけど、自分がずっとやってきた中での財産は、所属の子たちと一緒に同じ目線で会社を引っ張っていけること。そこは、LDHの一番の財産であり強みのような気がします。



日本ならではの「グローバルでの勝ち筋」がある


──アジア展開、世界展開についてはどんな影響がありますか?

BALLISTIK BOYZが88risingからリリースする予定で、4月にアメリカのフェス「コーチェラ」に出演する予定があったんですが、コロナで中止になってしまいました。

今はこういう状況なのでなかなか日本から出るタイミングはないですが、丁寧に時間をかけて色々なプロジェクトの準備をしている最中です。

現地へ行くことも大切ですが、自分たちが現地に行かなくても成立できるように、東京から世界へ発信できるようなプラットフォームを開拓していければと思っています。オンラインライブについてもマーケットが広がることで視聴人数が変わってくるので、今は様々なことを想定して準備しています。

──BTSは有料配信ライブを全世界で75万人以上が視聴し、一晩で19億円以上の売上を記録しました。K-POPや映画など、今世界的に評価されている韓国のカルチャーを、HIROさんはどう見ていますか?

やはりエンタテインメントビジネスに対してとてもハングリーですよね。30年くらい前から韓国の業界の皆さんとも個人的に交流もありますが、僕と同世代のアーティストだった方たちがプロデューサーや経営者になっていることが多く、とても刺激をいただいています。

韓国のマーケットは日本のマーケットほど大きくはないので、拡大していく必要がありましたし、彼らはずっと昔からグローバル展開を目標に持ち、段階的に世界のマーケットに対して挑戦しているのを目の当たりにしてました。

SM Entertainment、YG Entertainment、そしてBigHit Entertainmentという流れももちろんタイムリーに感じてきましたし、世界や日本のマーケットに進出するために昔から様々な準備をしているのも見ていたので、本当に感心していました。


BTSパフォーマンスの様子(Photo by: NBC/NBCU Photo Bank via Getty Images)

一方で、日本のマーケットやエンタテインメントも素晴らしく、歴史もある。僕も誇りを持って今この業界で生きていますが、決して驕らずに日本のカルチャーと共に自分たちのスタイルで世界に打って出たいと数年前から準備しています。タイミングを見ながら、LDHらしい戦略でグローバルな展開もしていきたいです。
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文=矢島由佳子

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