ビジネス

2020.10.05

在宅勤務は今後も継続し、オフィス需要は1~2割減少する

Photo by Eduardo Alexandre on Unsplash


各国の状況


新型コロナウイルス感染症抑制の最大の成功例のひとつとされるニュージーランドでは、世界が感染拡大の第2波の到来に動揺するのを尻目に、すでにオフィスワーカーの85%が職場に戻っている。ニュージーランドの現状は良好だ。同国のロックダウン命令はごく一部の地域に限定され、在宅勤務が指示された期間は2カ月ほどだった。ただし、ニュージーランドは先進国のなかでもっともパンデミックの状況を先取りしてきたため、在宅勤務の将来を占ううえでも好例といえる。

現時点で、ニュージーランドのオフィスワーカーの15%は職場に戻っていない。これは、バークレイズの基本予測である、オフィススペースの需要が全体で10~20%減少するという見解に合致する。

台湾と香港は、それよりも軽微な影響を示唆している。感染拡大のピーク時にオフィスを離れていた従業員は、それぞれ6%と10%に過ぎない。そのため、台北や香港のような大都市が、在宅勤務のホットスポットにならない可能性もある。少なくとも、必ずそうなるとは限らない。

柔軟に在宅勤務を認める動きは以前からあったが、パンデミックによって加速した。家にいてもオフィスにいる時と同じくらい高い生産性を維持できることを、人々が証明したのだ。

バークレイズの不動産アナリストは、たいていの企業においては、今後も高層ビルや一般的なオフィスが中核的機能を担い続けると考えている。彼らはオフィス空間を、社会的ハブ、コラボレーションや創造の場、非公式な研修や肩書きを超えた社員間のコミュニケーションの場とみなしている。

今後は、商業オフィスREITのほうが、小売REITよりも望ましくなるだろう。ただし、オフィススペースがビジネス生活やビジネス文化の中心であり続けるとしても、その利用方法は劇的に変化するはずだとバークレイズは見ている。

一方で、都市生活やオフィスタワーは復活する、と考える予測もある。

9月下旬にYahoo! ファイナンスが報じた不動産企業クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの分析によると、米国においては、今後5年間の経済成長と人口増加がオフィス市場を拡大し、2025年までにパンデミックに起因する損失を補填すると予測されている。

リポート共著者のひとりで、同社の予測担当グローバル責任者であるレベッカ・ロッキー(Rebecca Rockey)は、リポートのなかでこう述べている。「現在は逆風下のオフィス市場だが、今後は完全に回復すると予想される。わたしたちのでっちあげではなく、分析結果がそう示しているのだ」

翻訳=的場知之/ガリレオ

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