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2020.10.05

「地産地消」で拡大する米国の大麻業界、約25万人の雇用を創出

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米国では約25万人が大麻関連の業界で働いており、大麻の合法化が新しい州に拡大し、市場規模が膨らむにつれて、その数は大幅に増加するとの見通しが、Leafly.comの最新のレポートで示された。

大麻関連の雇用が最も多いのは、最も早く医療用マリファナを合法化したカリフォルニア州で、最初にレクリエーション使用を合法化したワシントン州とコロラド州が、それに次ぐ規模となっている。さらに、オクラホマ州のような保守的な州でも、大麻によって新たに何千もの雇用が創出される見通しだ。

大麻業界に特化した人材派遣企業FlowerHireのCEOであるデビッド・ベルスキーによると、この業界では農業やマーケティング、化学試験に関わる高度な専門的知識が求められている。給料は州によって大きく異なるが、あらゆる教育レベルの人々にふさわしい仕事が、この業界には用意されている。

大麻プロダクトの配送を行うドライバーや、栽培を手がける職種に加え、小売店の販売員や金融の専門家、博士号を持つ化学者など、様々なカテゴリで働き手が求められている。

伝統的な企業での経理や法務、セキュリティ、製造、小売などの職務の経験を持つ人々は、大麻業界にその専門的な知識を適応させ、活かすことが可能だ。さらに、「コンプライアンス・ディレクター」や「大麻栽培ディレクター」などのポジションでは、より専門性の高い知識や経験が求められる。

ベルスキーによると大麻関連の仕事のユニークな点は、「州外への移動ができないこと」だという。これは、大麻が州境をまたいで移動することを連邦政府が禁じているからだ。大麻は、消費される州で栽培、加工、販売されなければならない「地産地消」のルールに縛られている。

転職サイトのGlass Doorで最近掲載された大麻関連の人気の職種リストには、ブランド・アンバサダーやセールス・マネージャー、リテール・アソシエイト、デリバリー・ドライバー、セキュリティなどが並んでおり、大麻関連の店舗数の増加を反映している。

テクノロジー企業でも雇用創出の期待


各州の大麻市場は地域の事情に応じた発展を遂げており、求人にもその特性が反映されている。デリバリーが許可された州では、ドライバーや警備員、車両メンテナンス関連の求人が増えている。小売店が増加している州では、マーケティング関連の人材が求められている。さらに、クラブなどでの使用の合法化が検討されている地域では、飲食業や娯楽産業で新たな雇用が創出されることも考えられる。

また、新規に合法化が進む全ての地域で、シード(種)や販売を追跡するソフトウェアの需要が高まり、テクノロジー関連の雇用も新たに生まれそうだ。

「医療目的や娯楽目的を問わず、大麻の需要は伸びており、この分野の雇用も拡大していく見通しだ」と、ベルスキーは話した。「その他の業界の雇用は減少傾向にあるが、大麻業界の雇用は伸びている」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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