疑惑のEVメーカー「ニコラ」が開発続行、2021年に車両発売へ

ニコラの電動トラック「Tre」(写真=NIKOLA)


ニコラは、水素自動車開発のリーダーを自認してきた。水素燃料電池は数十年前から存在するが、水素ステーションの不足やパワートレインの製造コストが高いことなどから普及してこなかった。しかし、燃料電池や高圧水素タンクのコストがこの10年で大幅に低下した上、風力や太陽光から水素を製造できるようになり、水素で走る大型トラックは現実味を増している。

トヨタや現代自動車、ダイムラー、カミンズなども水素をエネルギー源とするトラックやパワートレインの開発に乗り出しているが、ニコラが頭一つ抜け出している。ニコラの株価は、9月30日に14.5%上昇し、20.48ドルで取引きを終えた。

ニコラは、GM以外にもボッシュや欧州の商用車メーカーであるCNHインダストリアル/イヴェコとパートナーシップを締結している。両社は、ニコラに出資もしている。また、ニコラはNel Hydrogenやメリトール、韓国のハンファソーラーとも協業している。


(写真=NIKOLA)

「EVの鍵はソフトウェアにある」


ミルトンは9月20日に辞任し、Steve Girskyが後任の会長に就任した。Girskyはニコラの取締役で、ナスダック市場への上場や、GMとの提携をリードした人物だ。Girskyは元GM副社長で、それ以前は長年金融アナリストを務めた。

ミルトンは、ニコラが燃料電池とバッテリーの分野で業界最先端の技術を保有していると公言してきた。しかし、同社は水素自動車の商用化をなるべく早く実現するため、革新的な技術の開発よりもプラットフォームとしての位置付けを強化している。つまり、アンハイザー・ブッシュなどの顧客企業向けに水素やバッテリーの充電ステーションを建設することが同社の優位性であったと言える。

ラッセルは、ニコラが独自開発した技術として、電動トラック向けのソフトウェアを挙げる。「我々が100%開発したのはソフトウェアとインフォテインメント・システムだ。EVの鍵はソフトウェアにある」とラッセルは話す。

Hindenburgの告発を受け、SECと司法省が調査に乗り出した。双方にコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。
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編集=上田裕資

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