不調や怪我を乗り越えて。梶谷隆幸「自分のやれる事だけをやる」

横浜DeNAベイスターズの梶谷隆幸


「周囲の声に過敏な反応はしない」辿り着いた心の境地


SNS全盛の時代において、フェイスブックやツイッターを開けばさまざまな声を目にすることができる。自分がどう思われているのか、多くの人が気にしてしまうが、梶谷は「周囲の声に過敏に反応はしない」という。

「若い時にはエゴサーチをして、周囲の期待を感じてしまったこともありました。他人の声に反応していた自分は弱かったんですよね」と当時のことを振り返るが、もともと他人にそこまで興味を示すタイプではなかった。「気にしてしまっていた頃は自分から不安を探しに行ってしまっていた」と語る。

「自分が落ち込むための要因を探すことって、すごく無駄な時間ですよね。大事なのは明日からの行動をどう取るべきか。だからこそ、最近は自分への対話を意識するようにしています。人は人、自分は自分です」



打席に立つ前夜に明日の目標、打席に立った時のアプローチなどの会話を続けている。チームが用意するデータを見て対ピッチャー、そして自分の理想としているスイングを意識して眠りにつく。ビジネスパーソンに置き換えるならば、明日自分が何をするのか、具体的なイメージを持った状態で眠る。準備ができているからこそ、結果も出やすくなる。

過去の後悔から生まれた、新たな習慣。漠然と打席に立ち、気が付いたらその打席が終わってしまった。2019年序盤に増えた代打の機会が、学びにつながった。そのときだけ見れば「後悔」で終わってしまうかもしれないが、後悔を後悔のまま終わらせず、昨年途中からの入念なメンタルトレーニングへと繋げたことが、今年の好成績にも繋がっている。


(c)YDB

自分自身と向き合い、しっかり準備をする。当たり前とも思われることだが、意外とビジネスパーソンでもその当たり前が出来ない。梶谷は様々な境地を乗り越えて、その大切さに辿り着いた。自分自身を見つめ続け、他人に左右されない心の芯が構築された強さがそこにある。これこそが大きく変動する世の中で生き残る大きなヒントになるのかもしれない。

文=新川諒 写真=小田駿一

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