スポティファイのPumpedはベーシックなワークアウトを念頭に置いたもので、高機能なエクササイズマシンを用いるペロトンやiFitの競合を目指すものではない。Pumpedはごく限定的なコンテンツではあるが、完全に無料で、スポティファイのアカウントを持っていない人も利用可能だ。
つまり、スポティファイの無料版につきものの、耳障りな広告で朝のトレーニングを邪魔されずに済むのだ。Pumpedには9つの音楽ジャンルが用意されており、ポップスからジムでおなじみのEDMサウンドも楽しめる。さらに、メタルやジャズなども用意されている。
Pumpedはブラウザベースのサービスで、スマホやラップトップなど様々なデバイスで利用可能だ。利用者は運動の強度や、セッションの長さ(7分、14分、21分の3種類)、番組のホストを選択可能となっている。
エクササイズのメニューはスクワットやランジ(片足を前に踏み出してひざを曲げ、上半身を立てた姿勢)、バーピー(筋力トレーニング)などのシンプルなものだが、朝や仕事の後に試すのには十分な内容だ。
スポティファイはPumpedで、ここ最近高まる家庭内のフィットネス需要をつかもうとしている。このカテゴリはユーチューブやインスタグラムの無料プログラムや、ペロトンなどのハイエンドなサービスが主流となっている。
しかし、スポティファイのサービスには見劣りする部分もある。現状の4人のホストは全てプロのトレーナーではなく、スポティファイが配信中のポッドキャスト番組のホストたちなのだ。
スポティファイはこのプログラムを通じて、同社が独占配信するポッドキャストを売り込もうとしているらしい。同社は今年5月に、世界1位のポッドキャスト番組を運営するコメディアンのジョー・ローガンに1億ドル(約100億円)を支払い、独占契約を結んでいた。
さらに、前大統領夫人のミシェル・オバマも7月末からポッドキャスト番組をスポティファイ独占で配信している。しかし、この番組は間もなく他のプラットフォームでも利用可能になる予定だ。これは当初期待したほどの利用者を獲得できなかったことを示している。