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妖怪経済草双紙


つまり両タイプとも「人間離れ」していますが、前者の方は好かれ、後者は敬遠されるのが世の常。なぜなら前者の方がより人間に近く、親近感を持たれるからです。

菅義偉政権への世論調査は、非常に高い支持率をはじき出しました。その最大の要因は、新総理の「人間味」にあるようです。そう、人々はやはり、妖怪性ではなくて人間性を重視しているのですね。

実はそんな人間に君臨する強烈な妖怪がいると言われています。大人物に憑依したり、強い指示を与え、「妖怪の大将軍」と称される妖怪。「ぬらりひょん」です。

ぬらりひょんの何が凄いか


「ぬらりひょん」は、もともと正体不明な妖怪です。ある地域では、海面に浮かぶ蛸のような妖怪で、掴むとぬらりとすり抜けられる、人の介入など平気で、ひょん、ひょんと漂い続けるからぬらりひょんだ、と言われたそうです。

また、年末の商家など忙しいところに、頭の大きな老人の姿で現れ、お茶をすすっていたりする。誰も彼のことなど知りません。気づいた時にはもういない。ちょくちょく人にいたずらを仕掛けるが、どちらかというと他愛のないもので、深刻でも後を引くものでもありません。

どう考えても、鬼や天狗などに比べて怖くありませんし、迫力もない。なのに、なぜ妖怪の将軍などと崇められるのでしょうか。

私は、ぬらりひょんの真骨頂は、その自然さ加減、静かな浸透性にあると見ています。本当は凄いパワーを持っているのに、誰もその力を見たことがない。一見、大した技も使わない。角も牙もないし、怪力でも空を飛ぶわけでもない。なんとなく静かに存在する。でも、人々は、もし彼に真の妖力を行使されたら恐ろしいことになる、と畏怖するのです。妖怪世界のフィクサーなんです。

ぬらりひょんは時代時代の節目に現れて、人の現世を動かしています。大物政治家や立派な経営者の多くが妖怪みたいだ、と申し上げましたが、彼らはぬらりひょんに乗り移られたり、操られたりしているのです。よって、政治も経済も、ぬらりひょんの思うがままなんです。

座敷童の意味


私は、ぬらりひょんの経済対策を担っている部下が「座敷童」だと睨んでいます。座敷童は岩手県をルーツとする妖怪で、遠野物語によって一気に有名になりました。愛嬌のある男の子のイメージが強いのですが、可愛らしい童女もいます。

座敷童はその見かけと違ってかなり恐ろしい妖怪です。かれらが棲みついた家は栄えて財産をなし、社会的にも大成功します。しかし、座敷童が去った途端に、その家は没落して大きな不幸に見舞われます。何を理由に棲みつき、どうしてそこを離れるのか、人間にその理由はわかりません。

文=川村雄介

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