米最高裁、保守派のバレット判事指名が経済などに与える影響

ドナルド・トランプ大統領とエイミー・コーニー・バレット判事 / Getty Images

ドナルド・トランプ大統領は9月26日、空席となっていた連邦最高裁判事にエイミー・コーニー・バレット(Amy Coney Barrett)判事を指名した。25日から出回っていた、同判事を指名するとの事前報道が正式発表で裏付けられた形だ。前任のルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg)連邦最高裁判事が、がんによる合併症により87歳で死去してから10日足らずでの指名となった。

この発表を受けて、連邦議会上院は、期限内に指名承認に必要な数の票を集める動きを正式にスタートさせた。11月の大統領選挙前に承認手続きを完了するという狙いがあるため、これは時間との勝負となる。

バレット判事の経歴とその思想


エイミー・コーニー・バレット判事は48歳。これまでシカゴに本部を置く第7巡回区控訴裁判所の判事を務めていた。バレット判事はトランプ大統領から「並外れている」と称賛され、ワシントンD.C.の政界保守派からの評価も高い。

バレット判事は、ノートルダム大学ロースクールを卒業した後、故アントニン・スカリア(Antonin Scalia)判事のもとで判事補佐官として働いた。現在はインディアナ州サウスベンドに、夫のジェシー・バレット(Jesse Barrett)と7人の子どもとともに住んでいる。夫のジェシーは以前連邦検察官を務めていたが、今は弁護士として開業している。

バレット判事は敬虔なカトリック教徒であり、その点が民主党議員から問題視されている。同判事が司法判断を示す際に、自らの宗教的見解を切り離すことができないのではないかというのが、こうした議員の懸念だ。

バレット判事は、これまでに妊娠中絶に反対するプロライフ(pro-life)の主張を支持する判決を数多く言い渡しており、保守派の中で影響力を持つ存在となっている。

一部には、バレット判事が自らの宗教的な信念から「反妊娠中絶派」となり、妊娠中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド」判決に対しても批判的な立場を取っていると指摘する声もある。米ニューズウィークの報道によれば、バレット判事は2012年、医療保険制度改革法(通称「オバマケア」)内のある条項を問題視し、これに反対する請願書に署名している。その条項とは、雇用主に対して、従業員向け医療保険のメニューに避妊を加えることを義務づける内容で、これが信仰の自由を侵害しているというのが反対の理由だった。

また、バレット判事が2016年にジャクソンビルで行った講演では、ロー対ウェイド判決の核となる理念は今後も支持されるだろうとしながらも、妊娠中絶の規制に関しては、各州がより多くの権限を与えられることになるとの見解を示した。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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