誇れる武器を一つだけ携えて。あとは流れに身をまかせる、そんな人生も悪くない


転職は、誰も僕のことを知らない環境に飛び込むこと。

だからこそ、いろんな部署を回って「自分が何者で、どんなことで役立てるのか」を伝えるよう意識しました。もう一つは、現状把握のための情報収集。施策を行うにもまずはリサーチから。

商店街の方々から話を聞いたり、市役所内外のいろんな人を飲みに誘ったり。“顔を売らないと仕事は来ない”という意識はテレビ局にいたころから持っていたので、自然にそうすることができました。

民間から公務員への転職ということで、戸惑ったこともあります。2017年10月に入庁して、最初に取り組んだプロジェクトでのこと。スマートフォンで市民と繋がるツールが無かったため、四條畷市公式LINEを開設しようとしたんです。

11月中からの稼働を目指していたものの、実際に開設できたのは2018年2月。自分としては「3か月も遅れてしまった」という感覚でした。

市役所が新しいことを始めるときには“ルール”を整備することや“公正公平であること”が求められます。プロジェクトを進める中で確認しなければいけない事項が想像より多く、クリアするのに時間が掛かってしまったのです。

けれど、入庁してすぐにこの経験ができてよかったと思います。

一般的に「保守的」なイメージを持たれてしまう行政ですが、市民にも職員にもメリットがある新しいことならやりたいと思っていること。ただ、公明正大に行うことが求められるので、確認事項が多くなってしまうのだと身を以って学べたから。

キャリアとは不思議なもの

これからのキャリアも、マーケティングとともに


どこで働くとしても、仕事を進める上での難しさにはぶつかります。

決裁権の無かったテレビ局時代は、提案が通らなくて不満を抱いたこともありました。けれど、目的に向かう道としてAが閉ざされたとしても、BやCの手段を思いつき、実行すればきっと前に進める。

自分の案や理想を通すことに固執せずに目的の実現をゴールだと思えば、まだまだ考えられたことはあったように思います。もう一つ、仕事を進める上で重要だと思うのが、結果の共有。

僕は、記事・動画・イベントなど何を作るにしても、いろんな部署や市民の方に協力を依頼する立場です。「いいものができたね」で終わりではもったいない。

定量・定性両方の成果を共有して、「協力してよかった」と思ってもらえるように意識しています。

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文=倉本祐美加 写真=岡本直子

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