誇れる武器を一つだけ携えて。あとは流れに身をまかせる、そんな人生も悪くない

企業で働いていると、配属・異動・転勤・昇進などを経験する。

これらは組織の事情によって決められることも多く、ときには予測していなかったタイミングで訪れることもあるだろう。

そのため、個人の意志だけでキャリアを切り拓くということは、実は難しいと言えるのかもしれない。

しかし、異動によって天職を見つけた人も確実にいる。大阪府四條畷(しじょうなわて)市でマーケティングの仕事をしている西垣内渉(にしがうち わたる)さんもその一人だ。

テレビ局から市役所職員へ、異色のキャリアチェンジを経験し、異動によって今のキャリアの軸となるマーケティングに出会う。転職に至ったのも、友人から教えられた情報がきっかけだった。

目の前に提示されたキャリアに身を任せ、置かれた場所でしっかり成果を出す。一方で、自分の興味・関心や意志は表明しておく。そして、直感が働いたときには、少しのきっかけも逃さず素早く掴む。

そんな姿勢によって形成されてきた、彼のキャリアを聞いてみたい。


予測できないキャリアを楽しめたから今がある


「前職はテレビ局勤務で今は任期3年の市役所職員、仕事はマーケティング」

僕のキャリアを端的に紹介するとしたら、こうでしょうか。2017年10月から、大阪府の四條畷市役所でマーケティング監(部長級)として働いています。

ミッションは、子育て世代の人口を増やすこと。

市が持続的に発展するには、子育て世代を増やさないといけません。そのためには、まず四條畷市の知名度を上げることが大切です。四條畷市在住の方にも市外の方にも「四條畷市は魅力的だ」と思ってもらえるように、情報発信やイベントの企画、公民連携の促進をしています。

最初のキャリアにテレビ局を選んだのは、もともとお笑い好き、かつインターンで報道番組のADアシスタントをしていて興味が湧いたという、いい意味で安直な感じです。

二社の面接が順調に進み、一社は入社前に「どのジャンルで仕事をするか」を選ぶ部門別採用。もう一社は、どのようなキャリアを歩むかわからない総合職採用でした。そのとき僕は、なぜかわからないのですが、予測できないキャリアに賭けてみようと思ったのです。

テレビにかかわることなら仕事内容にこだわりが無かったからかもしれませんが、人事異動によって、自分の人生が動いていくのも悪くないなと。それで総合職採用を選び、2005年に近畿圏で日本テレビ系列を放送する読売テレビに入社しました。

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文=倉本祐美加 写真=岡本直子

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