自家製のパンや菓子作りも広まり、米国ではイーストの売り上げが急増、英国では老舗製粉所が手掛ける小麦粉の需要が高まり、生産が追いつかないほどになった。こうしたトレンドに迅速に対応すべく、スーパーの営業方法も変化している。
「ダークストア」の登場
オーストラリア紙シドニー・モーニング・ヘラルドによると、同国ビクトリア州では小売店の大半が、ネット注文した品を店舗で受け取る「クリック&コレクト」やドライブスルーのサービスを新たに導入した。
米国も同様で、米CNBCテレビによれば、ネット販売での売り上げが急拡大した。英コンサルティング企業カンターによると、オンラインショッピング利用を大幅に増やした消費者は全体で40%、ミレニアル世代や幼い子どもがいる家庭では48%に上り、このトレンドは継続することが予想されている。
ニュースサイトのスーパーマーケット・ニュースは、「ダークストア」の登場について伝えている。これは、商品ピックアップに特化し、買い物客が店内に入らない店舗のことだ。アマゾン・ドット・コム傘下のホールフーズ・マーケットは先日、ニューヨーク市のブルックリン地区にダークストアをオープンした。
アマゾンとホールフーズのネット売り上げは6月30日までの第2四半期中に3倍に増加。同社は食品配送能力を2.6倍に、食品受け取り場所の数を3倍に増強した。
健康食の人気
コロナ流行を受け、人々の間では食に関する健康意識が高まっている。カンターは同社が行った調査に基づき、この健康志向がコロナ後も継続すると予想。「衛生状態の改善、より健康的な食習慣、家族と時間を過ごすこと、自己開発(の習慣)は続く可能性が高い」と述べている。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、そうした中でも特に人気となっているのが、果物のオレンジだ。オレンジの売り上げは、健康意識の高まりによりもともと伸びていたが、コロナ流行の発生後はさらに急増。オレンジは手軽に食べられ、健康的で、他の果物より長持ちし、免疫力アップも期待できるため、人気が出るのも当然だろう。
米国の食料品店でのオレンジの売り上げは5月、前年同月比で73%増加。7月も高水準が続き、同52%増となった。