ウィズコロナの時計界動向 シンプルウォッチからジュエリーウォッチまで新作登場

今年はスイスでのフェアもすべて中止と、時計界もこれまでにない状況に陥った。今年も新作は製作されているが、時代の変わり目となったのは確かである。


いまから約100年前に、いわゆるスペイン風邪が蔓延し、世界人口の約25%に相当する約5億人が感染したという。壊滅的と言っていいだろう。

それでも世界は立ち直った。世界経済の中心がロンドンからNYのウォール街に移ったこともあり、アメリカなどは1920年代に黄金期を迎えている。

時計界に目を移すと、1910年代から続くアール・デコ、そして19年にバウハウスが設立されるなど、デザイン的潮流の影響を受けたモデルが、いわゆる“スペイン後”に誕生している。現在、名作と呼ばれている腕時計には20年代、30年代にブレイクしたもの、製作されたものが結構あるのだ。

約100年後の今日、つまり“コロナ後”も、1900年代と同じように、きっと名作が生まれてくると信じたい。前回同様に、今回も2020年の新作モデルを時計ジャーナリストの評価とともに掲載する。

TAG HEUER Carrera Calibre Heuer 02 Sports Chronograph


Journalists’ Voices

渋谷康人


機械式クロノグラフの基本機構「スイングピニオン」の開発など、その歴史を常にリードしてきたタグ・ホイヤー。そして時計愛好家が絶賛するのが、スイスのシュヴネという小さな町にある美しい専用工場で製造される、垂直クラッチやコラムホイールなどハイグレードな仕様の、最新の完全自社製のクロノグラフムーブメント「キャリバー ホイヤー 02」。この最新の“エンジン”を搭載した製品はこれまでスケルトンモデルに限られていたが、待望の通常モデルが登場した。それなのに価格が身近なのも素晴らしい。

菅原 茂


タグ・ホイヤーは今年創業160周年。そして注目を浴びるのはモータースポーツとの関わりの深い「カレラ」だ。とくに興味深いのは、新しいデザインをまとって登場した「タグ・ホイヤー カレラ」である。レーシングクロノのテイストが横溢するカラーダイヤルやセラミック製のタキメーターベゼル、約80時間のパワーリザーブが備わる新世代の自社製ムーブメント、キャリバー ホイヤー02などが特色のこの新作、スタイリッシュなデザインと卓越したパフォーマンスで魅了する、まさにクロノグラフのニュースタンダードだ。

ムーブメント|
自動巻き Cal.ホイヤー02
ケース素材|ステンレススチール
ケース径|44mm
価格|615000円
問い合わせ|LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー(03-5635-7054)
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edit by Ryoji Fukutome

この記事は 「Forbes JAPAN Forbes JAPAN 8月・9月合併号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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