Close RECOMMEND

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

大創産業の創業者 矢野博丈氏(写真提供:日本経営合理化協会)

人生と経営は常に崖っぷち──9度の転職、夜逃げ、火事など数々の修羅場を乗り越え、誰も思いつかなかった100円商法でダイソーを一時代で築き上げた大創産業の創業者、矢野博丈氏。

その波乱万丈すぎる人生と、それを支えてきた哲学についてForbes JAPAN Web編集長の谷本有香が聞いた。

Amazonも講演を依頼する、ダイソーの物流システム


谷本有香(以下、谷本):ダイソーは利益1円でも売る商法で、今や売上4757億円、世界28の国と地域に5500店舗以上展開されています。なぜここまで大きくすることができたのか、経営哲学やこれまでの軌跡など、じっくりと伺いたいと思います。さっそくですが、現在ダイソーで扱っているアイテムは7万点もあると伺いました。

矢野博丈氏(以下、矢野):いえ、店舗には1万点くらいしか出ていませんが、毎月約700種類の新商品が出るので、実際は10万点近くあります。

谷本:10万点ものアイテムを扱う上で、どうやってオペレーションを回しているのかすごく気になります。Amazonからもオペレーションについて話してほしいと依頼があったと伺いました。この物流システムを立ち上げられたエピソードからお話しいただけますか。

矢野:僕は機械が苦手で、特にパソコン音痴なんですが、50年間毎日「ああでもない、こうでもない」と作り上げてきました。

以前、物流会社出身者を2人スカウトして、それぞれ倉庫長とコンテナ手配を任せたことがありましたが、毎日24時近くまで仕事が終わらなかったんですよ。でも彼らが辞めた後、倉庫は18時半で終わるようになって、コンテナの部署は月に300万円利益が上がりました。みなさん、プロを引き抜きたいと思う時期もあるかもしれませんが、やっぱり自分でコツコツ作り上げるしかないんだと思います。試行錯誤して作った結果、今日があるわけですから。

谷本:毎月700種類もの新商品を開発するのは大変ですよね。

矢野:でも、そうしないと潰れますからね。大手量販店が真似しにくいようにするためには、ダイソーにしかない商品を開発しないと生き残れません。そうせざるを得なかっただけの話です。

谷本:いつ足を運んでも、新しいもの、買いたいものがある状況を作り出すには、毎月新商品を開発していかなければならなかったんですね。

矢野:100円のものは欲しいと思ったら、全部すぐかごに入れてくださるんです。とても有り難いことですが、次に行ったときに同じ商品しかなければ、もう買うものがないわけです。例えば1000円の商品なら、3つ買ったら「あとは来月まで我慢しよう」とリピーターを呼べますが、100円ならとりあえず欲しいと思ったらかごに入れます。お客様に満足してもらうには、新しい商品を作り続けるしかなかったんです。

ただ、毎日40フィートコンテナが200本倉庫に入ることになるので、その処理に追われて大変でしたね。倉庫を作っても作ってもキリがなくて。とはいえ、新しい商品を入れないとお客様には飽きられてしまう。全部仕方なしに作った結果なんです。

文=筒井智子

PICK UP

あなたにおすすめ