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まず、これらの問題はニューヨークでも同じはずだが、なぜニューヨークではPCR検査を拡充できたのか。たとえば、陽性者の追跡調査は、感染の連鎖やクラスターの発生に欠かせないものだが、確かに人手がかかる。しかし、ニューヨークでは、特別に追跡調査の調査員を養成して、保健所に応援を出している。

日本で、検査を拡充してこなかったことの弊害は大きい。第2波は、おもに東京の「夜の街」から、東京の市中感染、全国の夜の街へと広がった、ということが知られている(ウイルスの遺伝子検査から証明できる)。クラスターが起きた場所の地理的な隣接地や従業員や客の濃厚接触者をすべて(症状がなくても)PCR検査する、ということをしていれば、これらの感染拡大を防ぐことができたかもしれない。

高齢者・介護施設でも、ウイルスが持ち込まれるのは、主に、そこの職員や出入りの業者しかないので、全員に、かつ、頻繁に、PCR検査を行うことが重要だ。ニューヨークではやっている。また、コロナ陽性者を受け入れている病院の医師・看護師はもちろん、その家族も定期的なPCR検査を実施すべきだろう。このような検査体制を敷くことで、医療関係者へのいわれのない、風評被害を食い止めることができる。


伊藤隆敏◎コロンビア大学教授・政策研究大学院大学特別教授。一橋大学経済学部卒業、ハーバード大学経済学博士(Ph.D取得)。1991年一橋大学教授、2002~14年東京大学教授。近著に『Managing Currency Risk』(共著、2019年度・第62回日経・経済図書文化賞受賞)、『The Japanese Economy』(2nd Edition、共著)。

文=伊藤隆敏

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