米若年層が大統領選の結果を左右? 「必ず投票」が6割超に

Photo by Scott Olson/Getty Images

米国の若年成人(18〜29歳)の63%が、今年11月に実施される選挙では「必ず投票する」つもりだという。ハーバード大学の研究機関(IOP)が8月末から9月上旬にかけて、若者を対象に実施した調査で明らかになった。

この割合は、2018年の中間選挙では40%、16年の大統領選では47%、12年の選挙では48%だった。今年はこれらの年を大幅に上回った08年の63%と同水準となっており、今後さらに上昇する可能性もある(08年の選挙前の調査では対象年齢が18〜24歳だったため、今回もこの年齢に限ってみると、「必ず投票する予定」という人は62%になる)。

2008年の大統領選でのバラク・オバマ候補(当時)と連邦議会の上下両院での民主党の勝利には、若い世代の高い投票率が大きく影響を及ぼした。この世代の有権者の間では当時、オバマ候補の支持率は59%。現在のジョー・バイデン候補の支持率は60%となっており、08年と今回の選挙には、この点でも類似点がある。

ただし、バイデンは支持者の「熱意」でみた場合、再選を目指すドナルド・トランプ大統領に大きく後れを取っている。トランプの支持者のうち、「非常に強い熱意を持って支持している」と答えた人は44%。バイデンの支持者で同様に答えた人は、30%にとどまっている。

有権者登録数も増加


若い有権者の投票率は伝統的に低く、18〜29歳の有権者の投票率は2008年に48.4%という高水準に達したものの、12年は45%、14年は20%、16年と18年はそれぞれ46.1%、36%だった。

だが、タフツ大学の研究機関CIRCLE(若者の政治参加を巡る問題について研究)が今年8月に実施した調査によると、18〜24歳の有権者登録数は同月の時点で、多くの州で16年11月を上回っていた(同年の選挙の後に18歳になり、有権者登録を行う資格を得た米国人は、1500万人以上)。

IOPの世論調査プロジェクトを率いるジャスティン・ツェンは、「米国の若者は現在、新型コロナウイルスのパンデミックがもたらした“3つの危機”に直面している」と指摘する。その3つとは、教育と雇用を巡る今後の見通し、人種問題に対する意識の変化だ。ツェンはこれについて、次のように述べている。

「若い有権者たちは高い関心を持ち、私たちの国が抱える課題に率先して取り組んでいる。投票するこの世代の有権者が歴史的な数に増えても、驚くことではない」

ソーシャルメディア・ネットワーク上での呼び掛けや、フェイスブックやインスタグラム、スナップチャット、スポティファイをはじめとする企業が有権者登録を推進する取り組みに力を入れていることもまた、今回の選挙で若者の投票率が上昇するとの予測につながっている。

フェイスブックは9月21日、同社のプラットフォーム(フェイスブック、インスタグラム、メッセンジャー)を通じて有権者登録した人が250万人を超えたことを明らかにした。フェイスブックはこの数を、最終的には400万人にまで増やすことを目指している。また、スナップチャットは9月15日、同社を通じて登録した人は、すでに40万人に達したと発表している。

編集=木内涼子

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