フォーブス ジャパン ウェブ編集部 エディター

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コロナ禍で多くの「音フェチ」に愛し直されている癒し系サウンドがある。「ASMR」といわれる音コンテンツだ。ASMRとは「Autonomous Sensory Meridian Response」、直訳すると「自律感覚絶頂反応」。その音を含む動画は、ユーチューブだけで5億回以上再生されている。

人気コンテンツは「揚げ物」


ASMRが注目されたのはコロナ以前の2019年7月。ビールブランド「ミケロブ・ウルトラ」が女優のゾーイ・クラヴィッツを起用した「ASMR広告」が話題になった。

絶景明媚の森林、なだれ落ちる白い滝を背景にしたクラヴィッツがマイクに唇を寄せ「さあ、一緒に体験しましょう.....」とささやき、グラスにビールを注ぐ。そして気泡が立ち上るそのグラスをマイクに近づけ、ふたたびマイクに唇をすり合わせるようにして「ミケロブ・ウルトラ・ピュア・ゴールド……」とつぶやく、というものだ。


スーパーボールのCMで話題になった「ミケロブ・ウルトラ」の動画

ここでのクラヴィッツはささやくだけだが、ASMRのもっともメジャーなジャンルは「咀嚼音」。とりわけサクサクしたものほど癒し効果が高いらしく、人気なのは「揚げ物」を食す音。また、日本人には馴染みがないが、「蜂の巣」の咀嚼音も好まれている。再生回数がときに100万回を超える人気動画では、マイクを装着、あるいは口元近くに設置したユーチューバーたちが次々に食物を口にほおりこみ、咀嚼していく。


58万回視聴「おうち居酒屋」


30万5248回視聴「CANDIED HONEYCOMB, MOCHI, ALOE VERA」


23万4090回視聴「FRIED FOOD EXTREMELY CRUNCHY EATING」

咀嚼音が「脳オルガスム」を誘起?


米国のメディア「smartasset.com」によれば、咀嚼音をはじめとするASMRをタグづけした動画は、2017年の時点でYouTubeだけで435万、世界中で「1時間に11個」がアップされていた。その後、その速度は加速している。

なぜか。咀嚼音などASMRには、ある一定以上の割合の人が「ぞわぞわ」という快感を感じ、「脳オルガスム」を体験するからだ。その快感を、ASMRの名付け親であるフリーランスのウェブデザイナー、ジェニファー・アレンは、「脊椎をかけ上がるような、全神経終末を覚醒させる『何か』を注射されたような感覚」、と自身のウェブサイトで定義している。

文=石井節子

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