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2020.09.30

どのタイミングで事業会社から資金調達するべきか?

ここ数週間にわたって、事業会社/CVCから資金調達することに関するトピックをいくつか取り上げました。例えば、事業会社の投資体制の違いや、資金調達の目的がシナジーである場合、あるいは信用力の獲得競争の排除が目的である場合に考慮するべきことについて書きました。もう1つ、起業家たちが悩むポイントに「タイミング」があります。過去の記事で取り上げた他の要素を十分に検討し、資金調達するべきだと判断したなら、次はそれを「いつ」実行するべきか考える必要があります。実際の状況は個々の案件によって異なるので、明確な答えやルールを示すことはできません。しかし、以下のポイントについて検討すれば、自分たちにとって何が正しいか決める上で役立つかもしれません。

自分たちに協業に割く時間や余裕はあるか?


起業してまだ間もない段階で、事業会社/CVCから資金調達しようと考えるスタートアップも多く、中にはプロダクト・マーケット・フィットどころか、まだローンチすらしていないようなケースもあります。このような資金調達は事業会社とのシナジーを求める場合には特に課題が出てくることがあります。グロービス・キャピタル・パートナーズの野本遼平さんが最近の記事で説明しているように、アーリーステージのスタートアップには、大きな組織と意味のある協業を進めるための経営資源がまだないことが多いです。人数も少なく、運営体制も不安定であるため、結果的に、自分たちの事業の基盤づくりよりも、相手の事業会社のニーズを中心としたビジネスになってしまいかねません。その上、アーリーステージのスタートアップはプロダクトの開発やオペレーションにおいてまだ試行錯誤の段階で、スケーラブルかつ再現性のあるビジネスモデルを模索している最中です。そんなあまりにも早い段階から、提携先の事業会社を中心にビジネスを回してしまうと、マーケットの需要ではなく、その事業会社のニーズに応えるためにプロダクトを開発するようになってしまう傾向があります。

そのため、もっとレイターステージに進んでから提携したほうが、事業会社にとってもスタートアップにとっても良い結果になることが多いです。プロダクトが軌道に乗り始め、経営もしっかりとしてくる上に、人員や資金も増えているため、事業会社と協働する余裕ができてくるからです。
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文=James Riney

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