自分たちに協業に割く時間や余裕はあるか?
起業してまだ間もない段階で、事業会社/CVCから資金調達しようと考えるスタートアップも多く、中にはプロダクト・マーケット・フィットどころか、まだローンチすらしていないようなケースもあります。このような資金調達は事業会社とのシナジーを求める場合には特に課題が出てくることがあります。グロービス・キャピタル・パートナーズの野本遼平さんが最近の記事で説明しているように、アーリーステージのスタートアップには、大きな組織と意味のある協業を進めるための経営資源がまだないことが多いです。人数も少なく、運営体制も不安定であるため、結果的に、自分たちの事業の基盤づくりよりも、相手の事業会社のニーズを中心としたビジネスになってしまいかねません。その上、アーリーステージのスタートアップはプロダクトの開発やオペレーションにおいてまだ試行錯誤の段階で、スケーラブルかつ再現性のあるビジネスモデルを模索している最中です。そんなあまりにも早い段階から、提携先の事業会社を中心にビジネスを回してしまうと、マーケットの需要ではなく、その事業会社のニーズに応えるためにプロダクトを開発するようになってしまう傾向があります。
そのため、もっとレイターステージに進んでから提携したほうが、事業会社にとってもスタートアップにとっても良い結果になることが多いです。プロダクトが軌道に乗り始め、経営もしっかりとしてくる上に、人員や資金も増えているため、事業会社と協働する余裕ができてくるからです。